今日から夏休み。


相変わらずギラギラと太陽が照りつけ、セミの声が朝から絶え間なく聞こえる猛暑日。


学校の途中にある花屋の店先には、色とりどりの朝顔がきれいな花を咲かせていた。


花壇には、背の高いヒマワリが咲いていて、人々の目を楽しませていた。


すっかり季節は夏。


民家の軒先には、風鈴がつるしてあり、風に揺れながら涼しげな音色を奏でていた。


登校時間の通学路には、学生たちの姿はなく、時折自転車で部活に行く中学生とすれ違ったり、サラリーマンたちの姿を見る程度。


9月までの休みの間、その姿を見ることはなさそうだ。



商店街の店先などに、花火大会のポスターが貼られている。


しかし、そのポスターを見ても、田村くんと一緒にいける筈もなく、ただ通り過ぎるだけだった。


この花火大会、、地元では規模の大きな催し物だと、赤坂先生が教えてくれた。


そんな大きな花火大会、どれだけうちの生徒が行くことだろう。


そう考えると、とても恐ろしくて行くことなんてできない。


今現在、私たちの仲を知る人なんて誰もいない。


これからだって、秘密にしていくつもり。


それを、こんなところにのこのこ行って、みんなの知るところとなってしまっては、今までの努力が水の泡だ。


それに、それだけで済むはずがなく、私たちの未来は暗く閉ざされてしまうことになるだろう。


花火大会なんて、この先いくらでも行ける!


そんなことを考えながら、私は教室のドアを開けた。


生徒は夏休み。


当然、学校に来ることはないのだが、一部の生徒のみ来ていた。


修学旅行が終わった後、月に一度のテストがあったのだが、結果が悪い生徒には、二週間の日程の補修が待っていた。


田村君は当然のように、今回も全教科満点の成績。


見事、修学旅行の汚点を返上していた。


しかし残念なのは中川君。


彼は、あのことへの影響からか、今回の成績がいまいちおもわしくなく、補習授業に来ることに決定していた。


その他にも数名、生徒たちが来ていた。


いくらエリートな学校だといっても、中にはこうして成績がよくない生徒もいる。


しかし、決して彼らが勉強していないというわけではなく、他の生徒がそれ以上に成績がよかっただけのことなのだ。



今日は、人数が少ないせいか静かだった。


田村君は補習には来ないので、会うことはない。


そう思うと、少し淋しい気もする。


その田村くんから、今朝早くメールが届いていた。


  

 おはよう ミサトチャン
  

 今日は早くから出かけてきます
  

 また帰ったらメールする
  

 じゃあ、仕事がんばって


こんな早くからどこへ行くのだろう?


そう思いながらすぐに返信したが、行き先は教えてくれなかった。


そんなことをぼんやりと思い出しながら、補習授業は進んでいった。