ホテルに戻るとすぐ、私と田村くんは小山先生に謝りに行った。
小山先生は優しく笑って許してくれた。
なにはともあれ、彼が無事だったことにホッとされていた。
「僕、先生方にご迷惑かけたお詫びに、次のテストもがんばりますから」
なるほど、これがさっき校長先生と話していたことだったんだ。
やはり、エリートの考えることは違う。
こんなの田村くんじゃなければ、決して言えないセリフだもの。
「そうか、期待してるぞ」
小山先生も、すっかり彼のペースにはまっている一人だった。
「けど、田村君でも間違えることあるんだな」
「もちろんですよ、人間ですから」
その会話を聞いて、以前『神』だと言っていたことを思い出し、それが無性におかしくなり、隣にいた私は必死で笑いをこらえていた。
「中野先生もお疲れ様でした」
「いいえ、小山先生こそ、お一人で・・・」
「僕は大丈夫ですよ」
小山先生はそう言うと、携帯をちらりと見せた。
なるほど、彼女がいたから暇ではなかったというわけね。
そのことは、すでに田村くんにも話していたため、彼も苦笑いを浮かべていた。
「おかえりー。大変だったわね、ご苦労様」
部屋に戻ると、同室の赤坂先生がすでに戻っていて、私を出迎えてくれた。
「ええ、まあ。でも、無事だったんでよかったです」
私はベッドに座り、そのまま寝転んで大きく両手を伸ばした。
「でも、結構楽しかったんじゃない?だって、若い子と一緒に二人きりで京都の街を歩いたんでしょ。なんだか羨ましいわ」
「そうですか・・・」
内心ではそう思っていても、表情には決して出してはいけない。
そう言い聞かせるように、わざと普通の顔で答える。
「あら、だって相手はあの田村君よ。私だったらうれしくって舞い上がっちゃうわ」
そう言って赤坂先生は、くるくると回った。
そんな先生を見ながら、私は思った。
今日は本当にいろいろあったけど、楽しい思い出もできて、大満足だったなーーーって。
そして、今日田村くんから貰ったストラップとお守りを、一生大切にしようと、心に誓った。