神社の鳥居をくぐり、私たちは一気に階段を駆け上がった。


閑静な神社には、お参りする人の姿はまったく見られなかった。


そのため、静まりかえったこの場所が、騒々しい日常からとてもかけ離れているように思えてくる。


なにか心に不思議な感情を与えてくれる、そんな異空間のようであり、すごく神秘的な場所のような気がする。


「ねえここなの?田村君が来たかった場所って」


「そう、ここだよ。ここはね、俺の原点みたいなもんなんだ。俺が誕生するモトになった場所って言ったらいいのかなぁ~」


そう言って彼は、太陽にまっすぐ両手を伸ばした。


彼のその姿は、とても美しく、眩しかった。


この神社の雰囲気に、まるで融合するかのようだった。



「さぁ、何かお願いしようぜ」


二人で神様に手を合わせ目を閉じる。


私の頭の中は、当然彼のことでいっぱい。


田村くんと、ずーーーっと一緒にいられますように!間違った事をしているのかもしれないけど、彼を好きだという気持ちは分かって下さい。ますます彼を好きになっていく自分を、どうか許して下さい。



今の私の願いは、これしかない。


「これでよしっと」


私がお願いし終えると同時に、田村くんもおわったようで、「ミサトチャンなにお願いしたの?」と笑顔で話しかけてきた。


「たぶん、田村君と同じかも」


「ふーん、そっかー。じゃあ、二人一緒にお願いしたんだから、ぜってー叶うよな!」


「うん、きっと、そうね」


すると彼は笑って私の肩を抱き、ポケットから携帯を取り出した。


「ここで写真とろうよ」


二人うれしそうな笑顔で、写真におさまった。


彼の隣で幸せそうに笑っている私は、本当に幸せ者だと言える。


あーーあ、このまま時間が止まってくれたらいいのに!


これも、お願いしとけばよかったかな?




「でもこんな場所、よく知ってたね。有名な神社なの?」


「まあね。俺って物知りだからさ。いろいろ詳しいんだよ。なんでも、よく叶う恋愛の神様なんだってさーここ」


彼は悪戯っぽく笑ってみせた。


私はそれを聞いて驚いた。


彼が私をここへ連れてきたいと思った理由が、恋愛の神様にお願いするためだったなんて。


心が温かくなる。


彼の気持ちがとてもうれしかった。



きっとここの神様が、私たちのことをずっと見守ってくれることを祈りつつ、私たちはもと来た道を帰りはじめた。