「うれしいなって思って。だってさ、ミサトチャンがバスの中で、なんかよそよそしいというか、避けてるって感じてて・・・。俺、なんか悪いことでもしたかなぁーって、頭悩ませてたんだぜ。でも、これですっきりしたよ。これは俺を心配させた罰ね」


そう言って、いきなり私にキスしてきた。


私は恥ずかしさのあまり、とっさに彼から素早く離れた。


「ガイドとはなんにもないよ。なんかあれこれ聞かれたりしたけど。俺はミサトチャンがいるし。アドレスとか渡されたけど、明良に渡しといた。あいつ、ガイドのこと気に入ってたからね。まあ、その二人のおかげで、こうしてここに来れたわけだ!」


「ふーーん、そうなんだぁー。でも、ここってどこなの?なんか普通の民家が並んでるみたいだけど・・・」


「へっへっへっ。なんと、ここは俺がミサトチャンと一緒に行きたかった場所なのでーす。ここからは俺について来てください。では、はぐれないように、手を繋いで行きましょうね。さぁ、こっちですよ」


彼はうれしそうに私と手を繋ぐと、そのまま歩き出した。


彼に引かれるまま、ついて歩く私。


彼と一緒なら、どこへだって行ける気がする。


この彼の手がある限り、私は彼に守られ、安心できるそんな気がしていた。   





私たちはどんどん歩いて行った。


そして今、林の中を二人は歩いている。


大きな木々に遮られ、あまり太陽の光が届かないのか、林の中は薄暗かった。


その中の一本の細い小路。


この道は一体どこへ続いているのだろう。


こんな暗くて人気もないような場所に連れて来られ、少し不安になった私は、つないだ手に自然と力が入る。


亮君はどこへ行く気なのだろう。


まさか・・・・・?




「ミサトチャンが今考えてること、当ててやろうか?」


まるで私の頭の中を見透かしたかのように、笑いながら彼が妖しく言った。


この暗がりの中では、彼の顔をちゃんと見ることは不可能。


でも、声が笑ってる?


「こんなところに連れて来て、一体何をするつもりなのかしら?まさか・・・」


「きゃー、やめてよ。そんなこと考えてないわよ。もう、Hねぇ」


「ええー。なにそれ・・・。俺何にもHなことなんて言ってないぜ。ミサトチャンこそなに考えてるのさ。ねえ、ねえ・・・」


随分と墓穴を掘ってしまったと、深く反省した。


でも、亮君の言った事、私の頭そのままだったから、つい・・・・・。



「わぁー。ダメダメ。もうこの話はおしまい。さあ、行きましょう」


まんまと彼の話術にはまり、それを必死で阻止しようと、私は首をブンブンと大きく左右に振った。


そして、彼の手を強引に引きながら、早足で歩いた。


私は本心を彼に見抜かれたことで、とても恥ずかしくなった。


顔が赤くなったが、幸い暗かったので、それは彼に見られずにすみそうだ。


ふーーー、やれやれ。


内心、ホッとしていた。




その後私たちはどれくらい歩いたのだろう。


視界が少しずつ明るくなり、彼の整った美しい顔がだんだん見えるようになってきた。


そして、やっとの思いで林の道を抜けると、そこには古い神社がひっそりと建っていた。