再び電話が鳴った。


今度は、小山先生の携帯ではなかった。

なんと学校の非常用電話だった。


私たちはお互いに顔を見合わせた。


この電話が鳴ることなんてないと思っていたので、自分の耳を疑ってしまう。

でも、確かに電話はなっている。


小山先生は、先程までのにやけ顔から一変して、教師の真面目な顔に戻っていた。

「僕がでます」

ごくりと息を飲む音が聞こえる。


緊張しながら、先生が受話器をとった。

「もしもし、Y高校の小山です。どうしました?」

「あー、もしもし、僕・・・です、えっと・・・・・。」

「ごめん、よく聞こえないんだけど。もう一度言ってくれる?」

雑音が多くて、聞こえにくいらしい。


何度も聞き返す小山先生。


「すみません。聞こえますか?田村です。田村亮介です」

「えっ、田村君!!」


なんとか聞こえたその声の主は、なんと田村君だった。

小山先生の口から、田村君の名前が出ると同時に、私は驚いた顔で小山先生を見た。


そして、思わず受話器を奪いたい衝動に駆られた。

「どうした?なにかあったのか?」

小山先生の困惑した顔を見れば、彼の身によくないことが起こったことは安易に想像できた。


私はたちまち不安になった。


手短に電話を終えた小山先生は、電話の内容を説明してくれた。


私はドキドキしながらそれを黙って聞いていた。