駅に着いた。
祖母はお土産を買うと言って、一人、店の中へ入って行ってしまった。
祖母がいなくなり、田村くんと二人きり。
緊張していた肩の力が、すっと抜けた気がした。
「どう?疲れた」
「ううん、大丈夫。本当にすんげぇー楽しかったもん」
満足そうな笑みを浮かべる彼の顔は、本当にうれしそう。
私たちもお土産を買うため、祖母に少し遅れて店の中へ入って行った。
「これなんかどうですか?」
「おいしそうだねぇ。じゃあ、それに決めた。やっぱり若いもんは、選び方が上手いねえ」
「じゃあ、俺もそれにしよっと」
彼と祖母が、楽しそうに話してるのが見えた。
その光景は、なんともほほえましく、私にとっては、この上なく大きな喜びであった。
祖母に優しく接する田村くんに、今まで以上のいとしさを感じ、うれしい気持ちがこみ上げてきた。
そして、本当に彼を好きになってよかったと、心からそう思った。
お土産も買い終わり、後は祖母の電車を待つだけ。
ベンチに座り、ホームでたわいもない話をしていると、電車が入って来るのが見えた。
重い腰を上げ、荷物を持つと、祖母は電車の入り口の前に歩き出した。
その後を、私たちも祖母に続く。
「今日は本当に楽しかったよ。亮ちゃんとも仲良くなれたし。もしよかったら、またミーちゃんと一緒においで。
それじゃあ、ミーちゃんのことよろしく頼むね。ミーちゃんも、体に気をつけて元気でね」
「僕も楽しかったです。ありがとうございました」
「じゃあね、お婆ちゃん。元気でね」
祖母は別れを告げると、そのまま電車に乗り込もうとした。
が、次の瞬間、私の耳元に近寄り、小声で言った。
「亮ちゃんのこと、大切にしなさいね」