「いや、待てよ・・・。あれっもしかして・・・」


しばらく和やかな会話が続いたが、突然、今までの雰囲気を覆すかのような形相で父が言った。


私は、なによ今さら、と思いながらも、父の次の言葉に酷く怯えた。


私の中に、再び緊張が走る。


「そういえば、あそこは今日、休館じゃあなかったか?確か、今日だったぞ。なあ、母さん。この前の新聞の広告どこやった?」


休館?広告?父の口から飛び出した言葉に一瞬言葉を失ってしまった。


嘘?今日って資料館お休みなの?焦り始める私。


そして父と母は、新聞の広告を探し始めた。


「あったわ。これこれ。あら、本当だわ、今日は休みだって書いている。ほら」


私は、差し出された広告を見て、その事実を知り愕然とした。


父の記憶は間違っていなかった。


いくらエリートな田村くんでさえ、ここまでは予想できなかったのだろう。


彼のほうを見ると、まっすぐ前を見据えながら、懸命にコーヒーを飲んでいる。


「なんだよ。こんな遠くまで連れて来られたうえに、休館なんてなぁ。田村君もいい迷惑だよ。まったく、お前のそそっかしいところは、昔とちっとも変わっちゃいないんだから。本当にすまないねぇ」


「本当にごめんなさいね。とんでもないことになっちゃって」


父と母は、すまなそうに彼に言った。


ちょっと~、言い出したのは田村くんの方なんですからね。


私一人悪者扱いで、とてもくやしかった。


私は少しも悪くないのに!!


「いえ、僕は大丈夫です。先生は悪くないです。だから、先生を責めないで下さい」


彼は自分に非があるためか、私をかばってくれた。


彼自身、予想外の出来事だったのだろう。


これから後の事を考え、少し困惑している様子だった。


本当に、これから田村くんはどうすればいいの・・・。