放課後、私は屋上にいた。

もちろん一人ではない。

田村くんと一緒。


「田村君はどこに行く計画なの」


「ねえ、その田村君って呼び方どうにかなんねぇの。二人きりの時はさぁ、もっと違う呼び方にしてよ」


「そんなことできないわ。だって、もし人前で間違って呼んじゃうってことだってあるかもしれないでしょ。そうしたら
ばれちゃうじゃない。そんなの危険すぎるわよ」


「心配性だな、ミサトチャンは。でも、そんな時は俺がなんとかするって。大丈夫だよ」


「ねぇ、それよりどこ行くのよ。京都」


「それはまだ内緒。でも、ミサトチャンは待機かぁ・・・。でも、俺といっぱい修学旅行の思い出つくろうぜ」


「いっぱいねぇ・・・」


「そう、いっぱい、いっぱい」


彼はうれしそうに笑っていた。

その笑顔はとても美しく、その瞳はキラキラと輝いている。


彼はそう言っているが、私の思いは違っていた。

そんなの無理だとあきらめモード。

だって、どう考えたって修学旅行という学校の集団の中で、二人きりということは不可能だし、何と言っても、私は待機役。

そんなにいっぱいの思い出なんて、作れるわけが無い筈。


そんな状況にもかかわらず、この彼の自信に満ちた笑顔は、一体どこからくるのだろう。

不思議に思いながら、私は屋上を後にした。