「ねぇ、どうして何も言わないのさ?ひょっとして怒ってる?ミサトチャンがなにか言ってくんないと俺すんげぇー辛いじゃん」
今ここではっきり言わなければ・・・、そう心に決め私は重い口をやっと口を開いた。
「私は怒ってもいないし、喜んでもいないわ。ここへ来たのは、私が屋上が好きだからであって、田村君に会いに来たわけじゃないの。つまり、田村君は大きな勘違いをしているのよ。だから、その好きっていう気持ちだって、田村君の勘違いなのかもしれないわよ」
「そんなわけないだろ。俺の気持ちは俺自身が一番良く知ってる。それなのに自分のこと勘違いなんてするわけねぇーだろ。そんなの、ありえねぇーよ」
確かに彼の言う通り。
ましてや、彼のようなエリートに、こんなミスなどありえない。
自分で言っておきながら、こんなこと言わなければよかったと後悔したが、もう後には引けない。
「そんなこと分かんないじゃない。いくらあなたのような頭のいいエリートだって、間違う事くらいあるでしょ。今まで間違ったことないなんて言わせないわ。そんな神様じゃあるまいし、そんなの人間じゃないわよ。もう、これ以上こんな話続けたって無駄なんだから・・・・」
そう言うと、私は扉に向かって歩き出した。
これだけ言ったんだ、彼も理解してくれるはずだ。
「実はさぁー、俺も時々そう思うことがあるんだよねー。自分って神に近い人間なんじゃないかって。なんか今まで信じられなかったけど、今のミサトチャンの一言で、実感湧いてきたよ」
はぁー?なんでそうなるの・・・。
彼の話は、ことごとく私の予想に反していてその度に驚かされたり、後悔したり。
今回も結局、彼に納得させることもできず、逆に、彼に自信を与えてしまったのだから。
「だから、俺の言うことは間違いないんだ。つまり、ミサトチャンは必ず俺のことを好きになる。そうだよ、これだよ」
彼はそう言うと、一人陽気にはしゃいでいた。
本当にうれしそうな顔をして。そんな彼を見ていると、こんな完璧な人間に悩みなんてないんだろうな、なんでも自分ですぐに解決してしまうんだろうな、と思えてくる。