テストの日がやってきた。


みんないつもと違い教科書や参考書などを片手に、テスト勉強に余念がなかった。


教室の中は、テスト一色といった感じ。


今日から三日間、テストのみ行われ、昼で学校は終了する。


その後、生徒たちは自宅学習をすることとなる。


先生たちは、生徒たちが帰った後、採点作業や、生徒たちの成績をパソコンに入力する仕事などが待っていた。


このテストは、毎月行われていた。


自分の学力を知ることや、今後、進学に向けてどう努力すればよいかなどを知る資料にするためだ。


毎月テストなんて、私だったらうんざりだが、このエリート学校の生徒たちは、もちろんそれを承知で入学してきている。


当然、日々ごろからとても勉強熱心な生徒たちであった。



一日、二日と、無事テストを終え、とうとう最後の日をむかえた。


生徒たちもさすがに三日目ともなると徹夜続きなのか、クマができている生徒や、自信に満ちた顔、心配そうな顔など、様々だった。


では、彼はどうだろう?実は、テストの期間中一度も顔を見ていない。


テストの間、教師は担任ではなく監視役となり、他のクラスにまわされる仕組みだった。


そのため、彼がどんな顔をしてテストを受けていたのかは、全くわからなかった。


わかっていることといえば、テストの結果が今日まで全て満点だということだけだった。


そうなのだ。彼は、自分が出した条件を確実に達成しようとしていた。


これは、とてもまずい展開である。


しかし、私はここ何日間の間に、少しずつだが気持ちに変化が現れ始めていた。


彼の言った言葉。「私自身の気持ち」


もし、私が教師でなかったら、彼に告白されてどうなっていただろう。


きっと、うれしくって、うれしくって、天にも昇る気持ちになったに違いない。


外見も、内面も並外れて素晴らしい彼からの告白を「はい」と返事しないわけがない。


 つまり、結局はこうなのだ。


テストが終わりに近づくころになると、私は自分の本当の気持ちに気づいていた。


いや、気づいていたのにわざと知らない振りをしていた、と言った方が正しいのかもしれない。


彼のような魅力的な人に、惹かれるのは当然のこと。


これはもう誰にも止めることはできない。


でも、私の場合は違う。


その気持ちを通すことはない。


どうしても私の中で、教師という壁が大きく立ちはだかっているのだから。


だから、テスト前、彼が一生懸命勉強している姿を見るのは辛かった。


彼の姿を見る度に、私のことを好きだと言っているようで耐えられなかった。


「好き!」って言われてうれしくない人間などいない。


けど、今の私にはそれが辛く、悲しいことだった。


そんなことを考えているうち、終了のチャイムが鳴った。


「はい、ここまでです。答案用紙を後ろから集めてください」


今までのシーンとしていた教室が、一気に騒がしくなる。


テストが終わったこの瞬間、生徒たちの顔にホッとしたかのような安堵の笑みがこぼれた。


このなんともいえない感じは、今でもよく覚えている。


みんな本当にお疲れ様でした。