生誕世の中が昭和天皇の具合ばかり気にしていた頃、雪深い田舎町で私は生まれた。幼稚園に通う兄が、周りにはキョウダイがいるのに、うちだけいないのは何故だ?と親に詰め寄り、私が生まれたのである。親は兄だけでよかったらしい。兄は待望の妹誕生に大層喜び、今の時代であれば確実に児童相談所案件だが、毎日タクシーで1人で病院にお見舞いにきてくれていたそう。このエピソードは、私の自己肯定感を保ってくれるものの一つとしてずっと心の中にある。