かのえなぎささんの、『微熱を残すキス』を、何の気無しに読んだら、泣けました
先にレビューで、「昼ドラ的展開」っていうのを読んでたので、まあ確かに昼ドラ的展開でしたけども

安易な展開で傷つけられる訳ですが、それが逆にツボです
受の優は、親に捨てられたハーフ美人。美人薄命を地でいくようなタイプです。
田舎でイジメられて育つ訳ですが、ある日転校してきた上級生の圭吾(攻)に、変に気に入られます。
つまりは、イジメられるんですが。
まあこれは、好きな子には意地悪しちゃう的なことですよ。
小動物のように臆病な優が、徐々にそれを受け入れていった矢先の別離。
中学生だった幼き日々の思い出として薄れてくのかと思いきや。
社会人になった二人が、家具店の従業員と客として、再び出会うんです

そっから話がスタートする訳ですが。
中学生の頃の、思いを寄せ合った時間の記憶が抜け落ちていた優にとっては、最も会いたくなかった相手です。
でも、それを覚えてる圭吾にとっては、最も会いたかった相手です。
圭吾は、金持ちのボンボンらしく、(社会的には経営者として成功してる)強引かつジェントルマンに、優と接します。
そのかたわらには、昼ドラ的にはありがちな、美人の気心知れた婚約者と、片腕として働く金持ち兄妹。
兄の方が、ねちっこいやつでしたが。
圭吾は、千載一遇のチャンスとばかりに、婚約なんて跳ね退ける!ってかんじで、優に一直線になります。
それを阻止したいのが、スポイラーな兄妹です。
最初は、優に対して気遣いを見せるんですが、優の圭吾に惹かれる気持ちを見抜いて、二人の恋路を邪魔するようになる訳です。
そして、常人より傷つきやすい優は、ちょいちょいネガティブに考えては傷つき、離れなきゃ、離れたくないという気持ちの間で揺れます。
それはヒステリックになった兄妹に金を投げつけられ、殴られても、続くんですが
心は折れてるのに、なかなか弱音を吐かないような優が、身も心もボロボロになって。
そんな時に現れる圭吾が、手を差し延べても、それを一時の幸福、夢として心に留めることにする訳です。
再びの別離。
とおもいきや、一ヶ月後には迎えに来られて、ちゃんちゃん
ってかんじで、終わります。
ってかんじで、終わります。かな~りベタな展開ですが、臆病で繊細な優の気持ちになって読むと、泣けます

ベタに階段落ちとか、金で解決とか出てきますけどねー。
居て欲しい時に、王子様はいないものですし。
そんなもんと言ったら、そんなもんなんですけど
センチメンタルなのを読みたいときには、オススメです
優のシンデレラ感が、高久尚子さんの絵によって、かなりわかりやすくなってるのも、GOOD POINTです