こんにちは。今日は雨の降る一日ですね。



今回は船内各所で大活躍しているラミネートについて書いてみます。



日常生活を送っているとラミネートについて意識する機会はそう多く無いと思います。すぐ思いつくのは、レストランのメニュー表とか書店の話題本コーナーくらいでしょうか?私がこのブログを書いている書店併設型のスタバでもラミネートが活躍しています。



それでは船内ではどうなのでしょうか?まずは下の写真をご覧下さい。


↑妻が訪船に来た時に撮った写真。壁にペタペタ多くのラミネートが貼られています。


これは別にラミネートの多さを記録しようと撮ったものではなく、妻が訪船した記念として何気なく撮ったものです。所狭しと多くのラミネートが貼られているのがお分かりになるでしょうか?



そう、船はラミネート掲示が大好きなのです!



私が次席三等航海士として乗船した時も、まず命じられるのは大量のラミネート作りです。先輩が印刷したA4サイズの紙をラミネートして、裏にマグネットを貼り付け、船内各所を周って、貼り付けていくのです。「ザ・新入社員の雑用」という感じがプンプンしますが、これが船乗り1年目の実態です(笑)



これは何も先輩が趣味や嫌がらせでやっているのではなくて、「船員が目につきやすい場所にラミネートして掲示すること」という指示文書が会社から来るので、それに忠実にしたがっているだけです。その内容は、「女性船員が増えているのでセクハラは禁止です」「個人所有のUSBを船内PCに差し込むのは禁止です」といった啓発ポスターのようなものから、酸素欠乏の恐れのある区域(タンクの内部など)に入る時の注意事項など、わざわざ立ち止まって読む人がいるのか疑問なものまで、多種多様なものとなっています。


船橋(操舵室)に掲示されているラミネートは、その船の要目(全長、総トン数、積み込める貨物の量など)や航海計器の使い方などがメインです。ラミネートなので、ちょっと確認したい時やメールに必要な時に手に取って見るのですが、とても便利です。



掲示物の他にも、航海士が出入港の際に使用するチェックリストもラミネートのものが使われています。☑️を入れる部分にテープが貼られていて、鉛筆で書いて使い終わったら消しゴムで消せるようになっています。



ただこのラミネート式チェックリストには賛否両論あり、わざわざ紙を印刷する手間がかからなくて良いという意見がある一方、以前のものを使い回して目暗チェックになる恐れがあるという意見もあります。



私は紙で一回一回チェックした方がちゃんとやってる感もあって良いと思う派なのですが、やはり古いのでしょうか?



ところで、外航船はテプラも大好きです!

ありとあらゆる航海計器には黄色いテプラによって、操作方法が目立つように貼られています。

操作方法だけでなく、同じ計器な複数台ある場合には、「1号レーダー」のように計器の種類も書いてあります。レンタカーを借りると、「禁煙にご協力下さい」「ETCカード挿入口は下です」のようなテプラが貼ってありますが、あんな感じです。



ただ、船は計器がとにかく多いので、テプラの枚数はレンタカーの比ではありません。納車されたらすぐにドライブに出かけられるクルマと違って、船は造船所から引き渡されても、すぐに使える訳ではなくなかなか大変です・・・

引渡しを受けて最初に乗る船員(艤装員と呼びます)は、まずラミネート印刷やテプラ貼りのような非常に地味な作業から始めなければならないのです。艤装員の努力の上で、後続の船員は大変助かり、さらにユーザーフレンドリーになるようアップデートを続けていくのです。