こんにちは。
昼は20度近くなり、半袖の人も増えてきました。春を飛ばしてもう夏のような気候ですね。
今日は三井寺の夜桜に行ってきます。
春のライトアップ2023｜総本山 三井寺 (miidera1200.jp)
今回は乗船時に持参するクスリのお話です。
一旦乗船すると５～６か月は過ごすことになる船内には、医務室が備え得られており、医薬品も大量にあります。軟膏や湿布、傷口の消毒液といったちょっとした薬から、向精神薬や麻酔薬といった厳重保管が必要な薬まで様々あります。
ちなみに厳重保管が必要な薬は船長室に鍵をかけて保管することになっています。
船上生活を送っている中で、身体の不調が生じた際は、一等航海士にその旨を申告すると、症状に合わせた薬を無料で貰えます。どの薬が効くのか予めわかっている場合は、「頭が痛いのでロキソニンが欲しい」「寝違えたからサロンパスが欲しい」のように薬を指定することもできます。担当者としても薬を指定してくれた方がラクですからね。
一等航海士と船長は、「船舶衛生管理者講習」という病院で行われる１か月の講習を受講しており、船内で医薬品を処方する権限を持っています。（船長が実務をすることはありませんが）
一等航海士は誰にどの薬を与えたかの帳簿をつけており、毎月末にその帳簿をもとにエクセルで在庫一覧表を作成して会社の担当者に送付します。日本籍の貨物船であれば、船内に備えるべき医薬品は「船員法」という法律で決まっているのです。
変わったところでは、２８ページに「衛生サックは、国内各港間のみを航海する船舶には、備え付けなくてもよ い。」とあります。つまり外航貨物船にはコンドームを備え付ける必要があることになります。外国で上陸して風俗店に繰り出す際には持っていき、日本に性病を持ち込まないようにということなのでしょう。しかし、上陸前に実際に船内で配布されてるのを見たことはありません（笑）
戦争物の本を読むと、戦前の軍艦では上陸前に「突撃一番」という衛生サックが配布されていたようです。名前のままですね。
医薬品の在庫管理は（もともとある量）ー（使用した分）＝（現在の在庫） で辻褄が合うはずですが、着任した際は前任者の在庫票を鵜吞みにせず、念のために在庫の棚卸をする人もいます。日本に寄港する船であれば、医薬品は日本製のものが搭載されるので、薬局で見るようなおなじみの商品が多くあります。
ところが、アメリカとヨーロッパ間の輸送を担う日本に寄港しない船であると、当然外国製の医薬品に囲まれることになります。こうなると在庫管理はもとより、薬を一目見ても何の薬かよくわからないことになり、苦労も倍増します・・・
ところで、船内に備えてある薬は基本的に急性の疾患に対するものです。持病がある船員は自分で十分な量（６か月分程度）の薬を持参します。これまで見てきた中で一番多いのは降圧剤です。三等航海士は持病持ちの船員が持参した薬の種類と量を会社に報告する書類を作成するので、誰がどんな薬を持ってきているのかがよくわかるのです。
乗船期間より少ない分量の薬しか持ってきておらず、やむなく交代となる船員もたまにいます・・・
会社に持参した薬を報告と書きましたが、その対象は降圧剤のような重要度の高い（？）薬のみです。船員は乗船前に健康診断を受けるのですが、その際に「高血圧気味だが、降圧剤を飲んでいれば、船の業務に支障なし」などと書かれるので、会社に薬を必要量持ってきているかを確認されるわけです。酔い止めなどは各自で持参しますが、そのような軽微な医薬品はいちいち報告の必要はありません。
私は顔にニキビ・できものができやすいので、乗船前には皮膚科に行って大目に保湿剤やニキビ用の塗り薬を処方してもらっています。他には酔い止め、ちょっとした頭痛や風邪に速攻効くロキソニンを毎回持っていきます。外国製の薬より日本製の方が安心でよい・薬を貰うのに一等航海士を経由するので気が引けるという理由でちょっとした薬は持参している人が多い印象です。
以前、鼻に出来た出来物が大きくなってしまい、恥ずかしいので持参したバンドエイドを貼っていたところ、一等航海士から、「使用期限過ぎたからこれ箱ごとあげるよ」と言われ、１００枚入りのバンドエイドを貰いました（笑）
数日間鼻にバンドエイドを貼っていたから目立ったのでしょうね。
バンドエイドに期限があることは知りませんでしたが、この時はありがたく頂戴しました。