こんにちは。

 

今回は3か月ほどPCC (Pure Car Carrier)という自動車運搬船に乗船していました。

PCCへの乗船は初めてでした。

ちなみに外航船で3か月乗船というのはかなり短い方です。

 

日本の港で某自動車メーカーの乗用車を5000台程度積み込んで、北米で荷揚げする船でした。

 

 

PCCは全長200mありますが、写真のように海面からの高さがかなりあり、コンテナ船やタンカーのように「いかにも貨物船」といった外観をしていません。

どちらかというとフェリーに似ています。

またエンジンも船のサイズの割には低出力のものを積んでおり、あまりパワーが出ません。車でも排気量が小さいエンジンを積んだものがエコカーとして流行っていますが、船も同じですね。

 

冬場の太平洋はかなり波が高く荒れるのにパワー不足なので、揺れることが多かったです。今回は11月から2月というまさに冬本番での航海でした。

 

↑綺麗に晴れていることもあり、写真だとあまり伝わらないのですが、大揺れの時の外の様子。海がドス黒いですね。

 

↑こちらは穏やかな航行時。マストの上に白い鳥が停まっています。鳥が船にやってきて羽を休めるのは気候が穏やかな証拠です。マストの下の白い汚れはペンキの飛び散りではなく、鳥の糞です・・・

 

↑時計の右隣の計器は船の傾き表示系。黒い針は現在の傾き、赤い針は過去の最大傾きを記録します。

この時は左右40度の横揺れを記録!

 

これまで多く乗ってきたLNG船だったらこんなに揺れることはないのになあ、と思うことが多々ありました。ただやはり慣れもあるのか、一番船酔いできつかったのは、最初の1か月でした。船員にはアネロンニスキャップという酔い止め薬が人気なのですが、乗船も半ばになってくると、服用量が減ったのは嬉しい変化でした。

 

 

今回の船は船齢のとても若い船で、船橋も近未来感があるものでした。進路・速力・舵角計がデジタル表示、レーダー・電子海図の前に当直者用の座席が配置されているのが、従来船との大きな違いです。

座席は前後に移動させることができるのですが、通常航海中はほとんど使用されていませんでした。レーダーを監視したり、電子海図で航路を編集するときには邪魔になるんですね。

 

電車や飛行機と異なり、船は通常航海中はまっすぐに進むのみで(特に太平洋横断中)、船は自分で運転しているという感覚はありません・・・

貨物船は最高速力も時速40km/hと極めて低速です。

やはり、双眼鏡で周囲を見張るのがメインとなる航海当直では、着座式のスタイルとは相性があまりよくないのかも知れません・・・

 

たた、アメリカン人の水先人は、この座席に座って操船の指示を出すことが多かったです。ゴールデンブリッジ通過時などは、狭い航路を航行しているので、低速であっても周りの景色の移り変わりがよくわかり、珍しく「船が走っている」感じがします。