東京23区「推奨袋」廃止 「見える化」不可欠 | 3R全国ネット・プラスチック容器包装3Rチーム

東京23区「推奨袋」廃止 「見える化」不可欠

サンケイ12月4日


家庭ごみの減量を進めるため、収集を有料化する動きが

加速している。東京都府中、三鷹両市が相次いで有料化を

表明し、多摩全域の3分の2が有料化される見通しとなった。

一方、東京23区は長年続いた「推奨ごみ袋」を廃止する。

ごみ減量とリサイクル率向上のためには、どんな施策が

有効なのか。(徳光一輝)

府中市は11月21日、平成22年2月から家庭ごみ収集を

有料化する方針を明らかにした。

市は昭和41年、「24時間ごみ捨て放題」のダストボックス方式

を全国に先駆けて導入したが、分別が進まないため有料化と

戸別収集に切り替えることにした。

三鷹市は12月定例市議会に有料化の条例改正案を提出する。

多摩地域(30市町村)のうち18市町が有料化しており、

これで3分の2に当たる20市町が有料化することになる。

東京23区では現在、有料化はゼロだが、中野区が8月に初めて

有料化方針を表明。一方、東久留米市や千葉県流山市は

12月市議会に条例案を上程予定だったが、景気の急速な悪化など

を受け、「市民に負担をかけられない」などとして見送った。

                  ◇

有料化ではなく、分別ルールの徹底で減量に取り組む自治体もある。

神奈川県小田原市は平成9年度、半透明の指定ごみ袋を導入した結果、

可燃ごみが前年度の7万5900トンから5万6500トンに激減した。

しかし、その後は再び増え始めたため17年度、

それまで「新聞紙」「雑誌」「段ボール」など4分類だった紙類の分別を

5分類に増やすなどした。ごみ量は再び減り、19年度は5万7400トンに。

市環境政策課の一寸木孝幸・上級主査(40)は

「有料化の前にまだやれることはある」と話す。

一方、東京23区は、半透明のごみ袋が普及するきっかけとなった

「23区推奨ごみ袋」を今年度いっぱいで廃止する。

6年に本格導入され多くの区民が利用しているが、

各区でつくる検討会は今年6月、「推奨ごみ袋と同じ強度と

透明性を持ったごみ袋が十分に市販されている」などとして

廃止を決めた。現在のところ新たに指定ごみ袋を定める区はない。

指定ごみ袋を導入しなければ、中身が見えないスーパーのレジ袋で

代用する人が増える懸念がある。さらに23区は今年度から、

これまで不燃ごみとしていたプラスチック製品を可燃ごみとしたため、

混乱が生じたり、プラスチック注射器などが安易に捨てられ、

収集・選別作業員の危険性が高まる恐れもある。

検討会で幹事を務める墨田区リサイクル清掃課は

「各区とも条例で透明・半透明のごみ袋を使うよう定めており、

中身の見えないレジ袋は使えない。行政としてはレジ袋ではなく、

市販の透明・半透明の袋を買ってもらうよう区民にお願いするしかない」と話す。

                  ◇

 ≪東洋大・山谷修作教授≫「戸別収集」導入を

ごみ減量は、他人に見られるようにする「見える化」がすべてだ。

これで不適切なごみ出しや不法投棄を抑制できる。

有料化も大事だが、まずは透明・半透明で中身の見える

指定ごみ袋の導入が第一だ。

指定ごみ袋は小売店で買うことになるが、袋に分別方法を

印刷することもでき、啓発を兼ねられる。必要な情報が、

行政や自治会から入らないような人々にまで伝われば、

ごみ問題の8割は解決する。収集手数料を上乗せすることで、

有料化にもスムーズに移行できる。

その意味で、東京23区が推奨ごみ袋を廃止した後、指定ごみ袋を

導入しないのは行政の怠慢だ。スーパーのレジ袋で代用する人が増え、

不適正な分別が増える恐れがある。レジ袋削減運動にも水を差す。

もう一つ大切なのは誰が出したごみか分かるよう戸別収集を導入する

ことだ。集積所での収集より時間もコストもかかるが、

ごみを出した人の責任が明確になる効果は大きい。

見える化しないと、容器包装プラスチックを分別収集し資源化している

一部の区のように、使い捨て注射器がレジ袋で捨てられるといった

最悪の状況を改善できない。(談)


【用語解説】指定ごみ袋と有料化

自治体がごみの分別を進めるため、透明・半透明の袋を規格化する

のが「指定ごみ袋」。製造原価と流通費用が含まれた値段(45リットル袋

1枚あたり10円程度)で小売店で販売される。

ごみ収集の有料化は、指定ごみ袋に収集手数料(同10~80円程度)を

上乗せした価格で住民に購入してもらう方法が主流。

山谷教授によると、有料化は昭和63年に始まった北海道伊達市の

取り組みが注目を浴び、自治体の財政難も後押しして

現在、全国1805市区町村の58.2%が導入している。