弁護士を目指したけれど…~揺れる司法制度改革~(クローズアップ現代) | 会計士を目指すたろ~のアメブロ。

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2011年12月に行われる公認会計士短答式試験、2012年8月に行われる公認会計士論文式試験を目指して勉強中のたろ~のブログです。勉強に励む日々の学習記録が中心です。会社を退職したのであとがない(!)ことから、並行して司法書士試験の勉強もやっています。

本日のNHKクローズアップ現代。司法制度改革についての特集でしたね。会計士試験よりも先に制度改革を行い、合格者を大幅増員した結果、就職難に陥っているといったことで、なにが問題なのか?という内容でした。まぁ、司法試験の場合は、合格後、2年間研修があるし、実務経験がなくても資格がもらえる関係で、若干制度が違うのですが。。。


内容を以下、まとめてみましたので、ご参考まで。


■弁護士を目指したけれど… ~揺れる司法制度改革~
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3103
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司法試験に合格したものの、就職に苦戦する弁護士が急増している。やむをえず、いきなり独立開業する“即独(ソクドク)”も増えている。背景にあるのは、「より利用しやすく、頼りがいのある司法」を目指した10年前の司法制度改革に伴う法曹人口の拡大政策だ。司法試験の合格者を増やした結果、この10年で弁護士の数は1.6倍の3万人に急増。一方、法曹育成の切り札としてスタートした法科大学院では、合格率が低迷し、志願者が激減。更なる合格者増を求める声があがっている。こうした中、企業やNPOの一員となって法律のスキルを活かす“組織内弁護士”も登場。既存の弁護士像にとらわれない活動で市民に役立とうという動きもひろがっている。激変する弁護士の現状を取材し、司法改革が掲げた“身近な司法”の実現に向けた課題を見つめる。
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規制の緩和によって弱い立場の人が不利益を受けないように、変化の激しい人々の生活状況やニーズに即した法的サービスが提供できるように、ということで司法関係者の基盤強化を狙うため、国際的に見ても少なかった日本の法曹人口を質、量ともに増加させるために行われた司法改革。法科大学院を設置することで、それらの向上に役立てようとした。


法科大学院が誕生して7年、弁護士の数は1.6倍になったが、法科大学院を卒業して司法試験に合格する人の数は4年連続で減少し、今年はおよそ23%に留まっている。また、合格しても、就職できないといった現状も浮き彫りになっている。そのような背景から、現在、制度の見直しが行われている。


#今年から予備試験がはじまりましたが、そのことについては触れられていませんでした。


■弁護士の数
今年の合格者は2063人。ほとんどが弁護士を目指す。弁護士の数はこの10年で急増しており、平成13年に18.243人だったのが、平成23年には30.537人と増えている。その背景には、法律の世界を親しみやすいものに変えていこうとする司法改革があった。合格者を3倍に増やすということを目標とし、合格者を経済・金融の国際化の進展や人権、環境問題等、さまざまな分野への人材を育成し、たくさんの人に恩恵を受けられるようにするハズだった。


◇司法制度改革審議会、佐藤幸治元会長の話
一般の国民を悲報に容易にアクセスできると、国民の多用な相談ごとに応じられるような、そういう法曹を要請しなければならない。


しかし、新たに司法試験に合格した人たちが厳しい就職難を迎えている。実務経験のないまま独立する、ソクドクという道を選ばざるをえない人も増えている。履歴書を40~50枚をさまざまな事務所に送付して返事がもらえるのがほんの数カ所。ひどい場合は、パート弁護士ということで、時給800円で雇っているという現状もある。


#まぁ、実務経験を積むことが目的だとすれば、800円でもいいと個人的には思いますが……。


◇日本弁護士連合会会長、宇都宮健治さんの話
増員のスピードをスローダウンすべきだということを言っている。今まで、あまりにも急激すぎた。ただ、数だけ増やせば「頼りがいのある司法」になるという、しかも、弁護士というのは、とんでもない間違い。


■法科大学院の厳しい現状
法科大学院は、法学部の卒業生のみならず、社会人など、幅広い人材を法曹に育成するために設置された。紹介されていた大学院(桐蔭横浜大学法科大学院)では、学生の7割が官庁の職員や医師など、法律以外の専門をもった社会人。改革の理念に共感し、多種多様な人材を法曹の世界に送り出すためにはという観点から考え出されたのが、ロースクール。専門性をもって社会で働いている人がスクールで学んで、法の知識をもってその専門分野で活躍できる法曹であってもらいたいと考えている。しかし、法科大学院は、今大きな岐路にたたされている。


桐蔭横浜大学法科大学院
http://www.cc.toin.ac.jp/univ/law/


◇文部科学省の基準
3年以上合格率が全国平均の半分未満
入学試験の倍率が2倍未満


昨年9月に打ち出された上記基準を満たさない場合は、補助金を減額するというもの。背景には、大学院修了者の合格率の低下が挙げられる。当初はロースクール卒業生の8割が合格するであろうと想定されたが、大学院が乱立したこともあり、学生の質が低下。平成18年は48.3%であった合格率が、平成22年には25.4%と、当初目標の1/3以下まで低迷している。


働きながら学ぶ大学院生を増やせば、合格率が下がってしまうが、それを辞めて専業学生のみとしてしまうと、当初の目標である、社会人から多用な法曹を育てるということが満たせなくなるという矛盾。基準を満たせるように努力はしているが、厳しい現状。ただ、実際の卒業生の声としては、働きながら学ぶ大学院がなければ、弁護士にはなれなかったとインタビューで答えている。同大学院では、今年は87人が受験し、39人が最終試験まで残り、最終的に合格したのは6人だったとのこと。結局、来年度補助金が削減されることになった。


◇明治大学法科大学院教授、鈴木修一さん(本日のスタジオゲスト)
合格率が25%ということは、翌年も受験するなど、複数回に渡って受験していく大学院生が存在するが、世の中的には、法科大学院を卒業してことを評価してくれる企業は少なく、専門職の育成機関である法科大学院を卒業したとしても、試験に合格しなければ適職に就くことができないといった現状。合格率が25%という現状は投機的な制度と言わざるを得ず、そういう現状を見た志願者が、入学を前に法曹の道をあきらめてしまうということになりかねない。多様性を求めていたのに、多様性をもった社会人の入学者が減ってしまうというスパイラルに陥っている。


■従来の弁護士像に頼られない弁護士
アウトリーチの姿勢。福祉の現場に弁護士の側からアプローチし、トラブルを抱えたお年寄りや障がい者の支援を行っている。福祉関係者からの相談などにより、アプローチするケースも。お金に困っている人の場合は、ケースに応じて弁護士費用を立て替える民事法律扶助などの制度を利用しているとのこと。社会人時代に働いていた経験が活きている例として紹介されていました。


◇太田晃弘弁護士
生活の中でいろんな問題を抱えている方であればあるほど、法律問題だけで切り離して解決しようと思うとたぶん間違うこともあるので、そこはトータルで見て生活をどうやって支えていくかという観点から、つながりを生かして、みんなで支えていくような解決ができれば…と。


◇明治大学法科大学院教授、鈴木修一さん(本日のスタジオゲスト)
上記、太田さんのようなケースは、司法制度改革が求めた弁護士の理想像。早急に、司法試験受験者数と合格者数のバランスをとる。法科大学院側は、入学時、進学時、卒業時など、さまざまな段階で、厳格な質的コントロールを行う。合格者数について、現在、法曹三者(弁護士、検察、裁判官)以外に進むのが5%程度しかいないような状況では、司法制度改革の理念は達成しづらい。このような人材を育てるために、在学時にキャリアガイダンスを行うなど、大学院側も責任をもつ必要がある。