コメの値上がりが続くなか、備蓄米の2回目の入札が始まりました。ただ、その効果が出る前に、コメの販売店や「ふるさと納税」には大きな影響が出ています。
■「ふるさと納税」コメに殺到
京都の老舗コメ店。張り紙には“悲痛な叫び”が…
記者
「ありました。『米ありません』。安定供給できるまで店は閉めるということです」
大きく書かれているのは、「米ありません」の文字。
こちらは創業90年、年に300トンを扱ってきた市内最大手のコメ店ですが、「売るコメが手に入らず」24日に閉店しました。
まつもと米穀 松本泰 社長
「ひとことで言うと、もう無念。それだけですね」
コメ不足の予兆を感じたのは去年10月下旬。当初の予定より少ない量しか卸してもらえないケースが相次ぎ、今年に入ると、入荷のめどがまったく立たなくなったといいます。
まつもと米穀 松本泰 社長
「今一番心配なのは、令和7年度産米の集荷競争が非常に過熱していますので、どこまで価格が上がっていくんだろうかと」
まだまだ高騰が続きそうなコメ。消費者の焦りは、「ふるさと納税」にもあらわれています。
常陸牛や水戸納豆など、数多くの名産品で有名な茨城・水戸市。
水戸市ふるさと納税担当 田部田英智さん
「急激に増えている。ざっくり言うと2.5倍ぐらい。正直言うと、かなり厳しい状況」
返礼品としての申し込みが急増していたのは、やはりコメでした。
水戸市では、2月から3月のわずか1か月間で注文金額が100万円超え。今までにないほどの注文の数に、在庫も追いついていません。
水戸市ふるさと納税担当 田部田英智さん
「水戸の地元の農産物、おコメが求められて、提供して出ていくというのは非常にいいこと。ただ、在庫の問題で(コメが)なくなってしまうと、主力の返礼品なので少し残念」
取引している一部のコメ店からは「在庫がない」と達しを受け、供給がストップする事態に。
いま取引があるのは通常の半分以下だといい、それもいつストップされるか分からないそうです。
取材中にも…
水戸市ふるさと納税担当 坪井康介さん
「在庫に関してはこのままの設定で、価格調整だけで大丈夫ですかね?」
記者
「なんの電話でしたか?」
水戸市ふるさと納税担当 坪井康介さん
「(米穀店からの)コメの価格変更のお電話でした。10キロで900円上げる値上げのお電話でした」
水戸市によりますと、コメの値上がりを背景に、主食となる乾麺や冷凍パンなどの注文も増加しているといいます。
各所に広がりを見せる深刻なコメ不足の影響。そんな中、説明責任が問われている農水省は、26日から2回目の備蓄米の入札を行います。
本当にコメは安くなるのでしょうか。
大手卸業者(先週放出された備蓄米について)
「全国のスーパーなど店頭には、早ければ今週中には並び始める。5キロ3500円前後くらいかな」
農水省は価格などに効果があらわれなければ、追加の放出も行う考えです。
■コメ価格がパンを抜いた?
上村彩子キャスター:
コメの価格が高止まりしている中で、消費者の行動にも変化が出てきています。
コメ高騰で食べる頻度が「変わらない」と答えた人は63.3%、「減った、少し減った」と答えた人は35.9%となっています。(株式会社mitoriz/POBデータ ※POB会員3008人に調査)
TBSに近い赤坂の“とあるスーパー”の最安値は、山形県産のひとめぼれ(5㎏)4298円でした。ごはん一杯(150g)に換算すると58.5円です。ごはん1杯につき60円と思うと意外と高いなと感じる人もいるかもしれません。
ちなみに、食パン(6枚切り117円)は1枚あたり19.5円なので、3分の1ほどの値段になります。
■カロリーで比較すると…割安なのはパン?コメ?
ただ、この比べ方では腹持ちも違うと思うので、カロリーで比べてみます。
ごはん一杯(150g)は234kcalです。食パンで同じカロリーを取ろうとすると、6枚切り1.57枚で30.6円です。同じカロリーで比べてみても、食パンよりごはん一杯の方が割高になる計算になります。
ホラン千秋キャスター:
主食のコメがこれだけ値上がりすると、農家さんももちろん大変だと思いますが、家計にとって大きなダメージになっていますよね。
「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
これだけ価格が高騰しても約6割の方が変わらずに食べ続けている。改めてコメはインフラなのだと感じます。
備蓄米が放出され、価格も下がるかなと思いましたが、なかなか動かないので、まだまだ価格高騰が続くと、家計の負担も大きくなっていくと思います。
井上貴博キャスター:
昔から「コメ離れ」など言われていましたが、価格により手が届かないのでコメ離れになるという状況になってきました。
スーパーではパックごはんや餅などの方向にどんどん客が流れていると聞きます。政府としては「とにかくお米をたくさん作ってください」と号令をかけようとしていますが、担い手が本当にいるのか。農家も儲からなければどんどん担い手が減る一方だと思うのですが…
秋元里奈さん:
今年は作付を増やす方が多くなっているので、実際に収量は上がると思います。担い手の問題もありますが、コメは比較的大規模化が進んでいるので、人数は増えずとも1人当たりの耕作面積は増えています。なので比較的まだまだ生産には余力がある状態だと思います。
ただ、今まではコメが余っていて、食用で作っていたコメを飼料用米に替えてきていたので、それをまず食用に戻していく必要があります。今年に関しては大丈夫かなと思っていますが、新米はここから田植えをして秋の収穫まで待たなくてはいけないので、心配ではありますよね。
ホランキャスター:
そうすると小規模農家の方は大変ですね。ブランド化やマーケティングがうまくないと、どんどん大規模な農家さんの方が良くなって廃業するといったことがあるわけですよね。
秋元里奈さん:
お米の大規模化は進んでいますが、逆に小規模だからこそ作り方にこだわったり、生産性は悪いですが棚田で作ったり、ストーリー性も含めて売っていくというところが重要になるかなと思います。
■主食の代わりに圧倒的に安いのは〇〇〇?
上村彩子キャスター:
高騰するコメの代わりに主食にしたいものを調査したアンケートがあります。
【コメに代わる主食は?】※複数回答
うどん:約69%、パン:約67%、パスタ:約55%、そば:約42%、中華麵:約32%
(株式会社mitoriz/POBデータ ※POB会員3008人に調査)
家計を助けるために、うどんやパスタを選んでいる人もいるかもしれません。こちらもカロリーで比べてみましょう。TBSに近い赤坂の“とあるスーパー”の最安値で比較しています。
お茶碗一杯分の234kcal、ごはんは58.5円(5kg 4298円)です。
・うどん:81.3円(5食 429円)
・パスタ:16.3円(1kg 246円)
・焼きそば:60.9円(3食 214円)
うどんは冷凍うどんですが、ご飯よりも少し割高。そしてパスタは、赤坂のスーパーでは1キロ246円という破格の安さで、16.3円でした。標準価格の別の商品で計算しても約40円ほどでしたので、やはりこの中ではパスタが割安かなと感じます。
井上キャスター:
確かにカロリー計算ではこうなるかもしれませんが、腹持ちで言うと圧倒的にごはんが腹持ちすることも加味すると、どうなるのか。主食がこれだけ高くなることを我々も今まで認識していませんでした。
秋元里奈さん:
異例の事態ではあるので、農水省も今後同じようなことが起きないように、対策を練っているところではあります。
改めて、コメが本当に大事だということを今回や2024年の米不足のときも感じたので、しっかり農家さんを支えて、みんなが食べる分を作り続けられるようにしていかなければと思います。
ホランキャスター:
秋元さんの「コメはインフラ」という言葉が今日一番ぐっときました。
秋元里奈さん:
とりあえず炊いておけば安心みたいなところはあります。
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<プロフィール>
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 34歳
神奈川の農家に生まれる
