カリスト株式会社の共同創業者3人。中央が筆者

◆「やるべきこと」よりも「やりたいこと」を優先する
 コスパならぬ「タイパ」の時代。多くの現代人は、常に時間に追われているかのように生きている。

●いつも〆切に追われている
●チェックリストだらけで疲れる
●カレンダーが予定で埋め尽くされている
●受験に勝つために必死に勉強している
●与えられた仕事を延々とこなしている
●大人になって、時間を早く感じるようになった

 日々こんな経験をしている人は、非常に多いはずだ。しかし、「やりたいこと」を我慢し、「やるべきこと」に執着し続ける、機械のような人生は果たして幸せで有意義と言えるのだろうか。
 否、違う。
 時間の使い方はそのまま「命の使い方」になるが、思い出に残らないような生き方をすれば、時間は単調に過ぎ、人はただ老いていくだけだ。今日の一日をだらだら過ごし、明日も同じ繰り返しをするには、僕たちの一生は短すぎる。

 だからこそ、世界三大文豪も口を揃えて、こう言っている。

 

「うまく使えば、時間はいつも十分にある」(ゲーテ)
「賢い人間は時間を無駄にすることに最も腹が立つ」(ダンテ)
「時はそれぞれの人間によって、それぞれの速さで走るもの」(シェイクスピア)
 時は刻むもの。勇気をもって行動しなければ、「いつかやりたい」の「いつか」が訪れることはない。だから旅行、勉強、研究、運動、恋愛といった「時間があればやりたい」ことは「時間を作ってでもやる」べきだ。
「やるべきこと」なんて、ほとんどの場合は「自分でなくでもできること」だから、他の人やAIにどんどん任せて問題ない。

◆他人の人生を生きて、時間を無駄にしてはいけない


 時間心理学によると、時間の主観的長さは「没頭できるか否か」で激変することが分かっている。自分にとって意味のあることや楽しいことをすると、「いつまでも時間が続いてほしい」から、その瞬間は時間が早く経つと感じるものの、振り返ったときは思い出がたくさん浮かぶ分、時間が長かったと感じる。

 一方で、自分にとって重要でないことや苦しいことをすると「早く時間が終わってほしい」から、その瞬間は時間を長く感じるものの、振り返る価値のある思い出がない分、時間を無駄にしたと後悔するらしい。

 この概念は、アインシュタインの言葉で簡単に説明できる。

「可愛い女の子と1時間一緒にいると、1分しか経っていないように思える。熱いストーブの上に1分座らせられたら、どんな1時間よりも長いはずだ。相対性とはそれである」

「時間の心理的長さは、年齢に反比例する」と主張するジャネの法則もあるように、「大人になって時間が早く過ぎるようになった」と感じる人はとても多いだろう。
 でもこれは単純に「あなたがつまらない大人になってしまった」だけだと、僕は思う。自分の生きたいように生きる、カッコ良い大人になっているのであれば、時間はいつだって十分にあるはずだから。

 人は歳を取るのが嫌なんじゃない。歳を取って、可能性が狭くなるのが嫌なだけだ。だから日々新しい知識と経験を重ね、できることの幅を広げることで、充実した毎日を過ごしていこう。
 一度きりの人生、どうせなら主役になった方が良い。だから僕は、自分の名前をそのままつけた「カリスト株式会社」を創業した。
「あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きて時間を無駄にしてはいけない」 (スティーブ・ジョブズ)

◆自分の人生を生きるために、自分の行動原理を決める

 この世で自分がなすべきことを見出さない限り、僕たちは何者にもなれない。だから充実した人生に「行動原理」は欠かせない。有限な人生で没頭できるものは、2つか3つだけ。だから仕事・趣味・家族のどれを優先しても良いので、自分なりの行動原理を決めよう。

 

 大事なのは、『ワンピース』のルフィが本気で海賊王を目指しているように、ゾロが本気で世界一の剣豪を目指しているように、ナミが本気で世界地図を描こうとしているように、一生を捧げてでも成し遂げたい本当の優先事項を決めることだ。
「自分が何を願うやつなのかってことは知っておいた方がいいだろうよ。何を欲しいと思い、どうなりたいと思う、どんな奴なのか、それを知っておかないとあっさり道に迷っちまうぜ」(阿良々木暦『花物語』より)

 自分の行動原理は、言わば「自分株式会社のビジョン」のようなもので、以下の手順で決められる。
①自分の役割に優先順位をつける(例:父 → 社員 → 夫 → 息子 → 友達 → 業務委託)
②特に大事な役割で実現したい目標を枚挙する(例:金持ちになる、世紀の発明をする、家族と有意義な時間を過ごす)
③特に思い入れがあり、自分の強みや特徴とも合う目標を1~3つ残す

 行動原理を決めたなら、それが最優先事項なのだと、自分の脳に毎日訴えかけよう。ルフィがいつも「おれは海賊王になる男だ!!!」と言い続けているみたいに。たとえば、毎朝3回唱えたり、紙に書いて壁に貼ったり、スマホの待ち受け画面にしたりでもいいだろう。
 あとは自分の行動原理に沿って、迷わずに行動するだけ。自分にとって本当に大切な仕事を選び、それ以外は極力委任する。もちろん、最初からすべてを委任できるわけではないので、他の人を信じて徐々に任せる仕事を増やしていく。

 僕もカリスト株式会社を立ち上げたばかりのときは、人に仕事を委任するのが怖かった。でも今は会社のビジョンなど、こだわるべき仕事以外は、他の人にどんどん委任している。
「優先順位を決める上で大切なことは、分析ではなく勇気だ」(ピーター・ドラッカー)

◆緊急ではないが、自分にとって大切な仕事に注力する

 時間は自分で作るもの。最優先事項に「イエス」と言うには、一見重要に見える緊急な仕事に「ノー」と言わなければならない。
 仕事は「緊急かつ大切な仕事」「不急かつ大切な仕事」「緊急かつ些細な仕事」「不急かつ些細な仕事」の4つに大別される。最優先事項を達成するには、自らの強い意志で他を差し置いて、緊急ではないが長期的には自分の可能性を広げる「不急かつ大切な仕事」に注力する必要がある。

 たとえば、読書や勉強、研修、研究、中長期計画、サイドプロジェクトなどがこれに該当するだろう。
「他人にやらされてた練習を努力とは言わねえだろ」(茂野吾郎『MAJOR』より)

 煩わしい「些細な仕事」を減らすのは、誰でもできる。緊急でも大切でもない雑用や、緊急だが大切ではない電話やメール、打ち合わせなどは、放置するかAIや機械に自動対応させればいいから。移動時間や待ち時間といったスキマ時間も、読書やメール返信などに有効活用すればいい。

 しかし「自分の行動原理に合わない緊急かつ大切な仕事」を減らすのは、なかなか難しい。たとえば、イベント企画、報告書作成、プロジェクト管理、社内調整、クレーム対応といったオペレーションは、緊急度と重要性がともに高いので、「タイパ」の側面から「自分がやるしかない」と思い込みやすいだろう。

 しかし、ベテランの人に委任したり、不慣れな人に委任しつつも成長するまで待ってあげたり、業務委託したり、情報提供という形で限定的に関与したりと、一見重要に見える緊急な仕事でも工夫すれば減らせるはずだ。
 また、緊急かつ重要そうな仕事の依頼や要望に対しても、必ずしも「イエス」と言う必要はない。他の人の要求に全部応じていたら、自分の限られた時間とリソースを守れないからだ。ときには自分の最優先事項を大切にすべく、マイペースに「ノー」と言おう。
「タイパ」が叫ばれる現代だが、あなたは一生分の時間を何に賭ける?
「1時間の浪費をなんとも思わない人は、人生の価値をまだ発見してはいない。」(チャールズ・ダーウィン)

文・写真/東大AI博士・カリス