※写真はイメージです(写真/Getty Images)

春は生活環境が変わる人が多い季節です。それが原因となって、アトピー性皮膚炎が悪化するということもあるようです。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、春に増える代表的な皮膚の病気について解説します。
【イラスト図】悪性度が高い皮膚がんのメラノーマ、身体のどこにできる?*  *  *

 季節によって皮膚の病気は特徴があります。新年度がはじまり、新しい環境に飛び込んだ人も多くいるでしょう。今回は春に多い皮膚疾患について、その対策も含め解説します。

【1】アトピー性皮膚炎の悪化

 春先にはアトピー性皮膚炎が悪化して受診する患者さんが増えます。これには二つ原因が考えられます。一つ目が花粉の影響です。アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、花粉症を合併している人が多くいます。そういう人は、目の周りを中心にアトピー性皮膚炎が悪化します。対策としては、花粉症の時期は抗アレルギー剤を内服する。また、目の周りにワセリンをこまめに外用するのも有効です。花粉がワセリンでキャッチされ、粘膜からの侵入を防ぎます。

 もうひとつ、春先にアトピー性皮膚炎が悪化する原因が、生活環境の変化です。特に新社会人や親元を離れて一人暮らしをはじめる学生さんは、アトピー性皮膚炎が悪化する場合があります。これまで、薬の管理は保護者が行っており、いざ一人暮らしを始めると普段の薬がない。悪化しても相談できるかかりつけの病院もない。結果、アトピー性皮膚炎がどんどん悪くなる患者さんがいます。まずは新しい環境でかかりつけの皮膚科医を見つけることが大事です。

【2】紫外線による皮膚のトラブル

 肌に影響を与える紫外線には、UVAとUVBがあります。UVAもUVBも4月から夏にかけて増加します。紫外線による皮膚のトラブルは、長期の視点にたてば、しみやしわ、皮膚がんにつながります。また、短期的なものとして、紫外線アレルギーがあります。日差しを15分以上浴びると、蚊にさされたときのようなブツブツができる人は日光じんましんと呼ばれる病気の可能性があります。日光じんましんは、可視光線で誘発されることが多く、人によってはUVAでも起きます。UVAはガラスを通過しますので、窓越しだからといって安心してはいけません。UVAの紫外線防御効果があるサンスクリーンを塗ったり、UVAが遮断できる帽子や衣服を身に着け、直射日光を浴びるのは避けるようにしましょう。

 

【3】毛虫による皮膚炎

 4月になると、チャドクガというガの幼虫が生まれ、毛虫による皮膚炎が増え始めます。チャドクガ皮膚炎とよばれるものです。毛虫はツバキやサザンカ、お茶の木などに生息し、皮膚炎の原因となります。ガの幼虫には毒を持つ毛が50から100万本あると言われており、毛虫の幼虫だけでなく、成虫や卵、脱皮した皮にも毒針毛が存在します。そのため、毛虫に触れた記憶がなくとも、公園や庭で草木の近くにいただけで、腕や体に毛虫皮膚炎が出現することがあります。毛虫皮膚炎は細かなブツブツが無数に出現し、猛烈にかゆみを伴います。毛虫皮膚炎は、皮膚科専門医であれば簡単に診断がつく病気です。ステロイド外用剤で治療が可能なため、皮膚科を受診されることをおすすめします。

まとめ

 今回は春に増える代表的な皮膚病を三つ解説してみました。どれもかゆみを伴う病気であり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。予防と治療をしっかりと行い、春を楽しんで過ごしていただけたらと思います。