
世代を超え、多くの女性から支持を得ている、美容家の神崎恵。公式Instagramのフォロワー数は47万人(取材時)を超え、本を出せばベストセラーを記録と、躍進が止まりません。審美眼の肥えた読者に愛される理由は、自らの肌で試し説得力のある言葉で伝える発信力と、誰のためでもない自分のためのメイクメソッドを貫いているところにあると思います。そんな神崎に、今回主演を務めるドラマ『だから私はメイクする』(テレビ東京/毎週水曜24時58分)のことや、コロナ禍でのメイクについて聞いてきました。(取材・文=赤山恭子)
【写真】第1話のゲストは“ぱるる”こと島崎遥香 『だから私はメイクする』場面写真
■“マスクで見えない”リップこそしっかりつける
――コロナ禍でマスクありのメイクが定番になりつつありますが、マスクでも楽しめるメイクのご提案などありますか?
トレンド的に言うと、目元のハイカラーやカラーアイライナーだったりするんですけど、実はリップこそ、秋冬に向けて楽しくなる季節なんです。ただ、マスクで隠れてしまうから、つけていない方も多いと聞きます…。私自身、「唇はメイクしていませんか?」とよく聞かれるんですけど、逆に私はしっかりつけて、すごくいろいろなリップを楽しんでいるんですよ。
――隠れている部分も、メイクを楽しんでいらっしゃるのですね?
そうです。女の子だったらわかってくれる…と思うのですが、誰に見せるわけでもないけど、下着が上下ちぐはぐな時って、1日すごい嫌な気分になりませんか(笑)? でも、お気に入りの下着をつけていると、すごく気分がいい。それと同じで、「見えないからこその自由がある」と思っているんです。自分にしか見えないかもしれないけど、確実に自分に効いている、そんなリップメイクが、今すごく楽しいと思っています。見えないからこそ、普段チャレンジできない色もつけてみたりして。かわいい色もいっぱい出ているから、ぜひ自分に向けたリップの楽しみを提案したいです。
――素敵なメッセージですね。ちなみに、目元周りで注目しているアイテムはありますか?
春夏から続いているトレンドのカーキや山吹色もいいですが、今季はピンク系の新色に注目しています。新しい色を使う時って、楽しいですよね。メイクの魅力の1つだと思うのですが、今まで試したことがない色を軽くつけるだけで、自分が生まれ変わり続けることができる。こうしてストレスにさらされていて、ずーっと蓋をされているような感覚の今だからこそ、明るく新しい色に元気をもらったりして、コスメに頼ってもらいたいなと思います。
■ちょっとずつサボって余力を溜める
――多忙な神崎さんは、よく24時間で足りるなぁという印象です。忙しい現代女性に向けて、日々を上手に過ごすコツを教えてください。
確かに1日24時間、足りませんよね(笑)! 私も、いろいろ試しました。その中で、日々できるだけ元気に過ごすためには、“余力を溜める”ことが大事だと発見しました。むしろ、余力を溜めていかないと、「今、頑張らなきゃ!」という肝心なときに頑張れなかったりしてしまうんです。私の1日1日は、“余力を溜め込む”がテーマです。
――具体的にどんなことをやられているのですか?
本当にちょっとしたことなんですよ。例えば、朝起きて、服を選ぶのも毎日面倒くさくないですか? まず組み合わせる労力を削るために、セットアップやワンピースを用意しておく。お料理にしても、手の込んだものを作りたいけど、どうしても無理だったりするときもある。でも、適当に出すと、適当に出した自分にちょっと腹が立つじゃないですか(笑)。なので、広めの大きなお皿にして、真ん中だけに盛るようにすると、ちょっと手が込んだように見えます。料理の手は抜くけど、見栄えが良くなる裏技です(笑)。
――そうしたマジックをいくつも重ねて、余力を溜め込むのですね。
そうです! 気持ちと時間の折り合いをつけながら、ちょっとずつサボって余力を溜めていくと、溜まった力で「なんかやっちゃおうかな」という前向きな気持ちになりますし、ハプニングが起きたときに、「いやいや、まだここの力を持ってくるから大丈夫」と、やりくりができます。なので、私はものに頼り、ときにサボりながら過ごしています。全部頑張ると本当に身が持たないので…手を抜くところは抜いて、諦めることもたまには選択と思いながらやっていくと、ちょっと楽になる気がします。
■24年ぶりのドラマは「すごくいい刺激」
――そして、10月7日(水)からは主演ドラマ『だから私はメイクする』が始まりますね。
もともと原作を読んでいて、すごく好きだったんです。私が演じる熊谷すみれは「メイクは人のためにするものじゃなくて、自分のためにするもの」という考えなんですが、「私と同じことを言っている…!」と思っていました。どうありたいかのベクトルが自分に向いていることは、とても大事だと常々感じていて…自分だけのためにメイクをすることが、ときに背中を押してくれたり、勇気をくれたり、力をくれたりするので、「誰かにどう思われたいだけのメイクじゃないんだよ」ということが伝わればいいなと思っています。
――視聴者としては「熊谷すみれ=神崎さん」と置き換えて観てしまいそうですね。
そうかもしれないです。今回、私の中で役づくりは、ほぼなかったんですよ。自分のままスルっとスライドできた感じだったので、別人を演じている感覚はありませんでした。ただ、いつもやってくれているヘアメイクの方が、「神崎さんじゃなかったです、熊谷さんでした」と言っていましたが…どうなんでしょうか(笑)。
――24年ぶりの地上波ドラマへの復帰ということですが、久しぶりのドラマの現場はいかがですか?
すごくいい刺激を受けています。ものづくりに対する、いろいろな人たちの熱量を肌で感じる現場なので、私の今後のものづくりに関しても非常に影響しそうです。私も普段、本を制作していくにあたって「慣れないようにしよう」と、毎回大事に作ってはいるんです。それでも、心とは別にどこか「本を作る」こと自体に対して慣れているところがあるんですよね。心を込めることがまず大事、という原点に立ち返らせてくれた感じがして、本当に貴重な機会をいただけました。
