昨年6月の始め。
浮気が発覚して一月半経った頃の話。

義母に
「そんな弱い男は知りません。
    あしからず。」
と言われションボリしている夫。

そんな夫が出勤中に私はまた
浮気の痕跡を見つけました。



仕事から帰宅した夫は
やっぱりまだショボボボボーン
としていましたが


夫に聞きました。


「他にさおりと遊んでない?
    私に話したこと以外で。」

「ないよ。」

「話してないことあるでしょ?」

「ない。」


ちっちゃい声。
私を見ようともしない。


夫は夕飯も食べずに
自分の部屋へ入ってしまった。


きっともう出てこないつもりだ。



私はキッチンで泣いた。
嘘は明らかなのに
義母の件でこの世の終わりみたいな夫。
私と向き合う気は全くない。



ひとしきり泣くと
夕飯を食べ、お風呂に入った。



それから意を決して夫の部屋へ。

真実を聞くまでは
私の気持ちだって収まらない。



真っ暗な部屋。

電気をつけた。



夫の隣に座り声をかけ
一つ一つ聞いた。



○○○キャンプ場、知らない。

ディズニーシー、知らない。

横浜、知らない。1回しか行ってない。

○○レストラン、キャンセルした。

鴨川シーワールド、知らない。

水信玄餅、知らない。




蚊の鳴くような声で
毛布にくるまったまま
でたらめな返答。


「ちゃんと答えなさいよ!」

「話す気分にならない。」

「何でも話し合って行こう
    嘘はつかない、って
    この前言ったばっかりよね。」


こっちを見ようともしない。


「なえの事好きだけどもうダメだ。
    田舎帰るといいよ。

    何でなえは俺の過去を知りたがるの?
    何で俺に拘るの?
    何で俺の携帯見るの?
    何で言わなきゃいけないの?
    何で俺といるの?」


か細い声で
自分が原因でこんな状況に
なっているにも関わらず

諦め、責任を持たない発言。

私がこの7年どんな思いで
過ごしてきたかも
どんな思いで
ここに来たかも考えていない。



私は発狂した。



「何で何で言うんじゃないよ!!

    人をこれだけ傷付けといて
    その説明も出来ないの?

    私には知る権利があるの!

    怪しいことを見過ごして
    疑いを持ったまま夫婦として
    過ごせると思ってるの?

    田舎に帰るかどうかは
    真実が明らかになった後で
    私が決めること!

    ゆうとが言うことじゃない!」


ドスの利いた声で怒鳴り


寝ている夫を殴った。

喚きながら何度も蹴った。

脇に干してあった
まだ濡れているタオルで
ムチのように叩いた。

ビターン!ビターン!!

(後で聞いたらこれが一番
 痛かったらしい。)


その間ずっと
夫は布団にくるまり
丸くなっていた。

叩く度に身を固くして
ビクッとなっていた。

嵐が過ぎるのを待つように。



なんて情けない男なんだ。



怒り。苛立ち。失望。絶望。



腑抜けな夫。



これ以上、夫といても無駄だ。



「明日朝。。。

    話せそうなら話して。」


声を絞り出して伝え
部屋を出た。




その後、洗い物をした。


叩いた手の平が痛かった。