こんにちは。今回ご紹介する論文はこちらです。
Prehospital resuscitation with type O whole blood for trauma and hemorrhage
Jason L. Sperry et al. DOI: 10.1056/NEJMoa2602167
このブログとしては珍しくNEJMからの紹介です。
映画の「マッドマックス怒りのデスロード」では、主人公がO型Rh-の設定で、いろんな人に直接輸血をしていました。
それを見ながら自分は「全血をいれちゃって良いんか?」と勝手に心配になっていたのですが、
どうやら緊急時の対処としては大丈夫らしい。という論文です。
背景:外傷性出血によるショック時、病院搬送前に輸血をすることは死亡率を減らす。ただ、全血が部分輸血(赤血球・血漿・あるいは両方)と比べてメリットがあるかどうかははっきりしていなかった。また、全血輸血製剤の保存期間と予後の関係もわかっていなかった。
方法:この研究は臨床現場での多施設クラスターランダム化第3相試験である。44の医療空港基地を2:1で、病院到着前に最大2単位の全血輸血を行うか部分輸血を行うかでランダムに分けた(1ヶ月間)。主要評価項目はランダム化後30日内の死亡で、副次的観察研究として全血の保存期間と予後の関連も評価した。
結果:外傷性出血性ショック1020人の患者が航空基地により病院へ運ばれた。715人が全血輸血を受け、305人が部分輸血を受けた。うちそれぞれ695人と298人を解析に入れた。
全血輸血を受けた群の30日内の死亡率は25.9%で、部分輸血を受けた群の死亡率は20.5%だった(オッズ比 1.24 信頼区間0.87-1.76、p=0.24)。両群における有害事象に差はなかった。
副次的観察研究として、全血の保存期間と予後の間に相関はなかった。(30日内の死亡率が保存期間15-21日だった人で27.1%で、1-14日だった人が26.4%)
結論:出血性ショックを起こした外傷患者において、病院到着前に全血輸血をすることは部分輸血と比べて予後を増悪させない。
*****
O型の全血を入れる上で心配なのが、血漿中の抗A、抗B抗体なのですが、本研究ではそれらの抗体値が低い人の全血輸血が行われています。
「とりあえずO型の血液型を入れる」プロトコールには、何より簡便というメリットがあるので、意義のある論文だと思いました。
(その知識が活かされる事故や戦争といったシチュエーションには出くわしたくないですが・・・)
*****
おまけ画像:九州国立博物館の細見コレクション展に行ってきました。
中村芳中の鳥の屏風がとてもかわいかったです。
写真は博物館のカフェテラスで食べた金魚鉢っぽいゼリー?で、美味しかったです。
九州国立博物館の外にあるレストランは観光客向けなお値段だな〜といつも思うのですが(味は美味しいです)、
中にあるカフェテラスは良心的なお値段でオシャレタイムを過ごせるので気に入っています。


