今回ご紹介する論文はこちらです。

 

Immune biomarkers of increased infection risk in multiple myeloma 

Ainrzane Zabaleta et al. https://doi.org/10.1182/blood.2025031744

 

多発性骨髄腫において、感染イベントは直接死因になりうる大きなイベントです。ただ、どのような症例で感染が起こりやすいのかいまいちわかっていません。

この論文は、1786人の骨髄と末梢血を次世代フローサイトメトリーで解析し、感染になりやすいのはどんな細胞セットを持った群なのかを検証した報告です。

 

結果:

・CD27+B細胞が少ない群では有意に感染症が多かった。

・CD27-NK細胞が少ない群では有意に感染症が多かった。

・骨髄のCD27-/CD27+T細胞比が高い群でも有意に感染症が多かった。

・上記のリスクファクターは3つのデータセットで確認した。

・上記のリスクファクターが1個以下か2個以上かで分けると、感染イベントが35% vs 60%となり、有意差を持って感染しやすさの階層化ができた(これを免疫スコアとする)。

・免疫スコア、骨髄腫のステージ(MGUSかくすぶり型か新規か再発難治かという分類)、CD38-/BCMA-/GPRC5Dターゲット治療の有無が、感染症に関連する独立因子だった。

・今回の解析において、骨髄と末梢血ではすべてのタイプの細胞が相関しており、末梢血でルーチンとして感染リスクを推測できる可能性がある。

 

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多発性骨髄腫診療において、どの人が感染しやすいのか、確かによくわからないなあと思っていました。

(よく言及されるのはIgGですが、IgGが低くても感染症にならない人はならない)

次世代FCMをルーチンで流すのが現実的かというとそうでもないのですが、こういう臨床の疑問に答えるタイプの論文は割と好きです。

 

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おまけ:福岡の田川に魚楽園という雪舟が作った庭があるのですが、ここ数年ずーっと閉園しています(池のある庭愛好家としては悲しい限り!)。ただ、その庭併設のカフェは休まず営業しており、一体どんな事情があるのか気になっております(野次馬根性)。

魚楽園が閉園しているためか、カフェも閉まっていると勘違いして帰る人が多そうなので、勝手に宣伝のつもりで写真を載せておきます。運がよければ庭でダラダラするカフェの飼い猫ちゃんを眺めることができます。

 

 

 

 

こんにちは。今回ご紹介する論文はこちらです。

Time of day of CAR T-cell infusion and outcomes in large B-cell lymphoma

Blood (2026) 147 (12): 1315–1322.

https://doi.org/10.1182/blood.2025031476

 

免疫細胞のサーカディアンリズムが化学療法の予後に影響するという論文が近年ちらほらと出ています。今回はLBCLへのCAR-T細胞輸注時間が予後に影響するかも?という後方視的研究です。

 

方法:

2017-2025年の間、7つの施設でCAR-Tを受けた1052人のR/R LBCL成人患者を解析した。

 

結果:

CAR-T輸注時間の中央値は11:48 AMだった。

輸注時間が1時間遅くなるごとに再発・再燃・死亡リスクが上昇した。これは施設・どのCAR-T製品か・主要な臨床変数で調節しても変わらなかった。

正午より前に輸注した場合の1年の無増悪生存期間は51.4%だったが、正午より後の輸注では35.2%だった。ただし、全生存率は変わらなかった。

輸注時間で免疫的な毒性は変わらなかったものの、遅い時間の輸注では炎症マーカーのピークが高く、day7でのCAR-T細胞 expansionが減っていた。

 

結論:CAR-T細胞の輸注時間は治療効果に影響するかもしれず、今後の戦略で考慮されるべきかもしれない。

 

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化学療法や免疫チェックポイント阻害薬がサーカディアンリズムに影響されるのはなんとなくわかるのですが、「ついさっきまで凍結されて眠っていたであろうCAR-T細胞」までもが影響されるかもしれないというのは、とても驚きでした。

細胞そのものというより、周囲の環境(ホルモン量とか?)の影響でしょうか。

 

後方視的な研究であり、「すべてのCAR-T輸注は午前にすべきである!」とまではまだ言えないところですが、気になる論文でした。

 

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おまけ画像:最近の画像があんまりなくて引っ張り出してきました。福岡市内で食べたカンジャンケジャンです。

こんにちは。今回ご紹介する論文はこちらです。

 

Impact of TP53 mutations and their variant allele frequency in adults with newly diagnosed acute lymphoblastic leukemia

Blood (2026) 147 (5): 547–556.

https://doi.org/10.1182/blood.2025030498

 

TP53変異は様々な悪性腫瘍において予後不良因子として知られています。

ただ、成人ALLにおいてはその意義とともに変異頻度(VAF)の意義が今まで不明でした。

 

この論文はMDアンダーソンがんセンターにおける後方視的な解析で、ALLにおけるTP53およびそのVAFの意義を調べてみたというものです。

 

方法:2012-2024年の初発成人ALLで、NGSによりTP53変異を検索した652人を解析した。

 

結果:ALL全体でTP53変異は17.2%認められた。

TP53変異が多いのは高齢者(TP変異+ vs 変異-でmedian 61歳 vs 40歳)、Ph(-)B-ALL(28%。その他の型では3%)だった。

TP53のVAFのmedianは42%だった。

 

60歳以上の群ではTP53 VAFが45%以上であることが予後不良因子であり、この群は4年EFSとOSが28%で、再発リスクが上昇した。この傾向はイノツズマブオゾガマイシン(INO)やブリナツモマブ(BLIN)をfront lineで使用した群でも見られた。

 

60歳未満の群でINOとBLINをfront lineで受けた群においてはTP53やそのVAFは予後と関連しなかった。しかしながらVAFが45%以上の群では、45%未満の群と比較して累積再発率が増加した(35% vs 8%)(ちなみにTP53変異がなく、その他の予後不良因子もない群での累積再発率は4%)。

 

多変量解析では、60歳以上においてはTP53のVAFが45%以上であることが予後関連因子として有意だった。一方、60歳未満においてはTP53のVAFが45%以上であることは予後を予測しなかった。

 

治療後、寛解に入った場合も44%の患者でTP53が残存した。この群は再発が多いが(29% vs 8%)、あくまでサブグループ解析であり患者数も少ないので、意義についてはまだはっきりしない。

 

結論:60歳以上のPh(-)ALL患者においてはTP53 VAFが高い場合予後不良である。VAFが高いことは若年者においても再発リスクの上昇に関連するが、予後との独立した関連はない。

 

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若年者では強い治療ができるので、TP53変異もリカバリーできるということでしょうか。

今までALLに関してはPhをメインに見ていたのですが、ヘムサイトが承認され、TP53など、その他の遺伝子変異を見つけてしまってその解釈に悩むことが今後増えてきそうな予感がしています。 

 

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おまけ写真:ラーメンにチャーハンをつけてしまったときの記念写真です。