ロシアの民間軍隊「ワグネル」の指導者プリゴジンが
ロシア軍に対して反乱を起こしたという件が取り沙汰されているが
ニュース映像でプリゴジンがカメラに向かって喋っている、その顔を見ると
戦争なんてやってる奴の顔は本当に嫌だなと
思うばかりだ。
(これが悪役の俳優やプロレスラーなら
最高のビジュアルだと思うけど)
ロシアの政略的な“汚れ仕事”を
これまで一手に担ってきた人物だという。
もっとも、戦争の首謀者でありながら
ずっと涼しい顔をしていられる最上層部の輩こそ
一番タチが悪いのだけど。
ところで「ワグネル」という名前
クラシック音楽の世界では、ワーグナーの音楽に心酔している熱烈な信奉者のことを
昔から「ワグネリアン」と呼んでいる。
ワーグナーと言えば、その巨大な作品群の圧倒的なカリスマ性と
生前の野望に満ちた様々な悪徳、ゲルマン民族至上主義、ユダヤ人に対する差別主義思想等によって
後のヒトラーに支持されてナチスに利用されたことでも知られる大作曲家だが
ロシアのそれが何か関係があるのかは知らないが
政治的に利用される音楽とは一体なんなのかということが
思い起こされる(ショスタコーヴィチの音楽は、あれほどソビエト国家に圧力をかけられながら、結局利用され得なかったみたい)。
そう言えば、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降
チャイコフスキーの序曲《1812年》が
演奏会のプログラムから外されたというニュースがあった。
フランスのナポレオン軍に対するロシア軍の勝利を描いた曲だが
作曲当時のイベントのために書かれた「機会音楽」である。
機会音楽は、機会に相応しくなければ演奏されないのも道理なので
これに関しては、ロシア文化の否定という問題とは別に
致し方ないものと思っている。
曲中で大砲が鳴らされたり、戦争と切り離して捉えることの難しい
作品でもあるので。
(逆に、ロシア国内では
いかにも利用されてしまいそうな曲だが)
※8月25日追記。哀れなプリゴジン。そして本当の悪魔↓