「家、ついて行ってイイですか?」の特番で、家族があるのに違う家で寝泊まりしている60代の男性が出られてた。
エキストラのオーディションに落ちて落ち込んでるところだったそう。
家までのタクシーの中で、いつかは俳優になれたらとも思っているって言ってた。
前向きな夢を語るのは、年齢的に珍しい方だなぁと。
到着した家はまぁまぁ大きな一軒家。
東京23区だったから、結構な資産になると思う。
けど、彼はたまに寝泊まりするだけの場所として置いているらしい。
「なんて贅沢なんだ」と、そこまでは思ってた。
家に入ると散らかりまくってて、生活感はほぼない
ポツポツと話し出す男性…。
その家は彼の実家だった。
お父さんが最後までここで住んでた。
痴ほうが入ってきたお父さんを介護をするために、彼は6年ほどここに住み込んだのだそう。
お父さんはロケット打ち上げに関わるエンジニア。
仕事が忙しくて家にいることが少なくて、子どもの頃に一緒に遊んだ思い出はほぼない。
唯一、家族でどこかに出かけた時、種子島からロケットの調子がおかしいと連絡が入って、お父さんはまた仕事に消えた
なので、話す機会も接することもとても少なかったけれど、痴ほうをきっかけに一緒に過ごすようになった。
その時間がとても楽しかったんだと涙を浮かべながら話した
「ボケと酔っぱらいは相性がいいんですよ」って。
毎晩、晩酌をしながら二人で同じことを話し続けた
それがとても楽しかったのだと。
父の人生の最期を共に過ごせたのはとても良かった。
だから、今も定期的にこの家に通わずにいられないと…
幼い頃、お父さんと話したくて仕方なかった少年は、50代になって、ようやくソレが叶った
それを思うと涙があふれた
俳優になりたいと思ったのは、お父さんと一緒にテレビを見ていて楽しかったから、今度は自分が人を楽しませられる人になれたらいいなぁと感じたからだそう。
幼い頃、お父さんと関りがなければ、年老いて認知症になった父親とは余計疎遠になってしまうかもしれないのに、この男性は、小さい頃の寂しかった思いを最期のひとときを一緒に過ごすことで埋め合わせたのかもしれない。
だから、介護がとても幸せだったとおっしゃったんだろう
介護って大変なことだけれど、彼には“幸せ”だった。
捉え方ひとつで物事の印象は変わるんだな。
とっても良いお話でした