生まれてこなきゃよかった
人生においてそう思うこともあるかもしれない。
でも、生まれてこなければよかった命なんて一つもないんだ。
自分なんて…と思ったりしても、そんな自分が誰かの支えになっていることがある。
それは意図しないことかもしれないし、
気づいてさえないことなのかもしれない。
それでも、命はだれかの生きる支えになっている。
この映画を見てそう強く感じた。
反社会的集団に身を置き、人生の半分を刑務所で過ごしてきた三上。
出所後はまともに生きようと悪戦苦闘する。
その姿を捉えようとテレビ局の津野田が番組にしようと近づいてくる。
彼をカメラで追っているうちに三上のまっすぐで優しく、困っている人をみるとほおっておけない人間味ある人となりに惹かれていく…。
一旦、道を外れた人間が一般社会で生きていこうとする賢明な姿を見ていると、社会で生きていくためには、見ないふりをして少しズルくなった方がラクなんだな…なんて思ったりする。
三上みたいにまっすぐな人間は社会からハジかれる。
「確かにそうかもしれないな」と妙に納得させられたり、三上の瞬間湯沸かし的な激昂性格に「あ~~~!!あかんで、そこはあかんで~~~」とハラハラさせられたりと目が離せない。
実在の人物をモデルにしているせいか描き方にウソがなくて、
ガックリさせられるシーンも何度かあって…。
「でも、それが現実やんな」と何回も思う。
そして、何度も何度も泣かされて、とても切なくなる。
ラストシーンは受け取り方によっては悲しすぎるものかもしれないけれど、私は最後の最後に三上は“しあわせ”を感じたんじゃないかなと思った。
普通の生活に少しなじんでみることで、普通のしあわせを知ったんじゃないかなって。
コスモスが印象的だった
良い映画でした