歌うヴァイオリン”。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

私が最も敬愛するヴァイオリニストの一人 イツァーク・パールマン。若き日の収録ではあるが これは既に巨匠然とした彼の最上のテクニックと音楽性が見事に表現された 掛け替えのない記録と言えるものだ。オーケストラの前で矍鑠たる指揮によりソリストのパールマンを含む全てを完全に掌握しているのは、何んと かのユージン・オーマンディである。ヴァイオリンはまさに【歌う】楽器である。これ程見事にヴァイオリンを歌わせる事の出来る名手を私はパールマンをおいて他に中々見い出せない。オーマンディ&パールマン二度とあり得ぬコンビネーションで聴くチャイコフスキー  優美” 華麗” 悲観”etc、全ての表現要素を余す事なく網羅する極上の演奏。もう一度言うが【歌うヴァイオリン】の体現者イツァーク・パールマン最高の名演を心行くまで味って頂きたい。
(ルチアーナ筆。)
チャイコフスキー”
ヴァイオリン協奏曲 D-dur。