【永遠の華】と呼ぶに相応しい。振り返れば当時はまさに名優活況の時代であった。名バイプレーヤーとして名を成した笠智衆、暖かな佇まいで最高の気品を示す演技派女優、東山千栄子etc。東京物語で【原節子】と共演した歴史的名優である。映画界も又活気を呈し東宝、東映、大映、日活、松竹の大手五社は競って娯楽映画作品の制作に取り組み、そこには数多シリーズ化された著名作品も夥しい。しかしそうした時代もTVの普及と共に斜陽化と衰退の一途をたどり新たな方向性を模索するに至る。【原節子】が銀幕にその美の頂点を極めた時代はまさにスター、イコール映画俳優・女優を指す言葉であった。あれだけのカリスマ性を持ち引退して半世紀を経過して尚、その死がこれ程のインパクトを世に与える女優などもう二度とは現れまい。そしてこの際我々はもう一度女優【原節子】の華やかなりし活躍を時代の流れとして認識すべきではなかろうかと思う。彼女の出演作には古き良き時代の日本人の良識、モラル。そして何よりも清純で裏表のない無償の愛、人が最も心がけるべき規律と自然で優しい範たる人生の道しるべとも成りうる美しい佇まいがある。心静かに数多の名作の中で【原節子】が演じる女性像を垣間見た時我々は個々に何を想い何を感じ取れるだろう。この週末は心温まる名作の中に女優【原節子】を通じて古き良き時代の日本を感じ取るそんな時を過ごしたら如何だろう。諸兄にはその辺をお勧めしておこうと思う。『良き映画を選んで見よう!そこに描かれた【永遠の華】をしかと見届けよう。』これが私が深き信念でもある。
(ルチアーナ筆。)