(ルチアーナ筆。)
今日、我が家のXRT22からは私が尊敬してやまない岸洋子の優美なそしてこれ以上は望めぬ程の華麗さと切なさを併せ持つ最上のシャンソンが溢れんばかりのクォリティで流れ出ている。本ブログでは何度となく若くして惜しまれつつこの世を去ったこの名歌手の事を書いて来たが、今日もさり気なく彼女の歌唱が全盛を極めていた頃の代表的CDをターンテーブルに乗せた次の瞬間から、やはり彼女が如何に我が国のエンターテイメントにおいて大切な存在であったかが私の胸を突いて感慨深くこみ上げて来た。声の美しさもさる事ながら、その言葉、歌詞の明瞭で端正な佇まいと言ったら比類がない。歌唱史に刻む金字塔と言っても過言ではあるまいと思わせる程感動的な歌の世界がそこに展開する。本当の本物とはまさにこの様な歌を言う。【涙ものだ!】彼女の死によってもう永遠にこの延長上の展開はない。【アァ~神よ!それはないではないか!】…。今更何を言っても致し方ないと分かってはいても、ついぞ心ではいつもこう発してしまう。クラシックの基本を忠実に守りつつ決して片意地を張らず柔軟で豊かな音楽性をたたえる岸洋子のシャンソンは永遠に日本人の誇りであり続ける。振り返れば昭和30年代から40年代にかけて日本の大衆歌の世界は実に充実していたものだ。美空ひばり、島倉千代子、ザ・ピーナッツ、越路吹雪に岸洋子etc。優れた歌唱力で真のエンターテイメントを演出出来る真の歌手が数多存在したこの時代。ごまかしや一夜漬けのまがい物は皆無だった。それに引き換え今の現状は余りにも情けない。さあ~もう愚痴は言うまい。今夜はとことん【シャンソン三昧】!。ひたすら岸洋子の歌に浸り続ける事にしよう。本当に本当…!本物は凄い!…のだ。