奈緒『日差しがまぶしい!イヤだ~。昨日カーテン閉めるの忘れて寝ちゃった!。あぁ~悪いけどこれも薫先輩のせいだからね~!もう!でも私、寝覚めは良い方だし、まぁ~気分も悪い訳じゃないし今日も一日頑張ろう…!』今日は星野先生のレッスンが10時からあります。…っと同時に寺脇拓海くんと言う、何やらとっても素晴らしい声を持った男の子の事を事前にお聞きすることにもなっています。丁度来週の今日、土曜日の午後、私その子の学校案内する様に頼まれているので…。まゆ美先生もサヤ先輩も認めるほどの才能って…?いったいどんな子だろう!まぁう~んと楽しみにこの一週間、待ってます。『それにしても、楽しっみ~ちょっと、ワクワク!』なんて思いながら私今、学校に向かっているんです。今朝はお腹も空いていないし朝ご飯はぬき!昨日、薫先輩と一緒に何だかランチの後もグダグダと食べちゃったし。それが消化し切れてないんだと思います。本当、マジで!。だから今日はブランチですね。レッスン終了後のお楽しみ!だけど流石に今日は食事時くらい薫先輩に会わない事を願っています。とにかく先ず今日はゼミとは違い、通常レッスンですから星野先生の教授室に隣接するレッスン室へ向かいます。そろそろ10時、今私!レッスン室前に到着です。奈緒「失礼します。」星野「ハイ、どうぞ!あっ、昨日はどうもね!」奈緒「あっ、いえいえ!」星野「それでね、レッスン前に先に話しちゃうけど、君に昨日頼んだ例の件何だけどね。」奈緒「ハイ!」星野「昨日の夜にね、市澤先生から改めて電話連絡があってね。うん、始めから整理して話すね。先ずその受験生、男子生徒でね。名前は寺脇拓海って言うんだそうだ。」奈緒「正解!薫先輩…やっぱりかなりの情報通だわ!」星野「えっ!何か言った?」奈緒「いっいえ!何んでもありません。すみません。」まぁ~その後も星野先生のお話によれば、まゆ美先生とサヤ先輩そしてサヤ先輩の旦那様の塚田先輩が揃って次春のイタリア留学を控えて、そのご挨拶の為かつてサヤ先輩がおられた養護施設【静心園】を尋ねられた時、本当に偶然にも、その寺脇拓海くんと言う男の子の歌声に接する事になって、それが又、驚くほどの素晴らしさで三人共、一瞬にしてこの才能をこのままには出来ないと思われたんだそうです。それで是が非でも城東へ…っと。何んでも、まゆ美先生、この11月から拓海くんをご自宅に住まわせて徹底的にレッスンするおつもりの様で、その為にもご病気を一日も早く治すんだって思って居られるんだそうです。それを聞いて私も素直に嬉しくなりました。この分ならまゆ美先生が大学へ又、来られる様になるのも、そう遠い日の事でもないなって…。あっ!それともう一つ。サヤ先輩ご夫婦ですけど当面イタリア留学を延期されるんだそうです。でもこの話は今はオフレコ!星野先生から硬く口止めされました。『でも!あの薫先輩でも恐らく知らないこの話!わぁ~今学生では私だけしか知らないこの話!くぅ~!優越感。ちょっと気持ち良い!』ひとしきり話を終え、レッスンです。しかし如何でしょう!。人間って不思議なものですね。何か他人より多くの情報を身に付けたと言うだけで心に満足感がみなぎるんですね。お陰でレッスンも今日は順調、星野先生に少しは褒めて頂けました。こんな気持ちの良い時間を得たのは本当、久し振りです。そしてレッスン室を晴れやかに出室したその時!「奈緒ちゃん、レッスン済んだの~?」きゃ~可愛い!!私の大好きなあの声、あの姿!奈緒「あ~!舞~い!」私は思わず駆け寄ってハグしてしまいました。同級生!なのに…妹みたいに可愛い小野 舞ちゃんです。大大大、大~好き…!!!。
(続く。)ルチアーナ作