こちらは1978年の歌唱
であるが、あれだけの
繊細な美声を持ち合わせて
いたが故、年齢を重ねる事の
無情を感じざるを得ない。
この時点で既に島倉千代子の声は
全盛期の輝きを失いつつある
事が明白だ。但し歌の骨格は
さすがに揺るぎない。
声そのものの美しさもだ。
では何が衰えたのか?
フレーズの構築だ。長いフレーズを
キープするだけの自力が無くなって
いる。歌うとはそれだけ過酷な事
なのだ。こうした事態をリカバリー
する為に彼女自身どれだけの努力を
したのだろう。
最初からお粗末な声しか
出せない今のなまくら歌手達には
こんな苦労は決して分かるまい。
本物の歌を歌い続けた人のみが
プロとしての責任を
感じさせてくれる。その証が
ここにある。