りんどう峠”【2】 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

こちらは1978年の歌唱
であるが、あれだけの
繊細な美声を持ち合わせて
いたが故、年齢を重ねる事の
無情を感じざるを得ない。
この時点で既に島倉千代子の声は
全盛期の輝きを失いつつある
事が明白だ。但し歌の骨格は
さすがに揺るぎない。
声そのものの美しさもだ。
では何が衰えたのか?
フレーズの構築だ。長いフレーズを
キープするだけの自力が無くなって
いる。歌うとはそれだけ過酷な事
なのだ。こうした事態をリカバリー
する為に彼女自身どれだけの努力を
したのだろう。
最初からお粗末な声しか
出せない今のなまくら歌手達には
こんな苦労は決して分かるまい。
本物の歌を歌い続けた人のみが
プロとしての責任を
感じさせてくれる。その証が
ここにある。