ミュージカル「レ・ミゼラブル」コンサート。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

20世紀を彩る数多の
ミュージカル作品の中に
あって特筆すべき作品は何か?
…っと問われれば間違いなく
私は「ウエストサイド物語」と
この「レ・ミゼラブル」を
双璧として名指すだろう!。
ヨーロピアンテイスト、つまり
【静】の動機によって物語は
粛々と進行する。
ビクトル・ユーゴの原作に見る
不条理の世界観。正義、思惑、愛、
夢そして、無、悟りと終末。
この膨大なテーマに果敢に
挑み完成した歴史絵巻。
美しくも壮大、可憐にして優雅
そんな珠玉の名歌に飾られた
最高のミュージカルのこれは
ロンドンでの世界初演から
10年目を迎えた歴史的
記念ガラコンサートの模様である。
実は近年20周年のコンサートも
開かれ又、映画版も制作され
話題となった事は周知の
通りなのだが私には
それらに比しても
この10周年記念コンサートの
方が遥かに優れた出来栄えだと
思える。
日本でも多年、東宝が製作。
帝劇を中心に上演し人気を得て
いる事もこの作品の我国での
知名度と評価に貢献している
ところだが、そのクォリティーは
このコンサートのパフォーマンス
には到底及ばない。
とにもかくにも素晴らしい!。
あくまでもコンサートである。
取り立てて演技もない。
ひたすら演者はレパートリーを
歌い続けるだけなのに
この深い感動は
何からもたらされるのだろう。
多分、演者全てが才能に
満ち溢れているからに
他なるまい。
とにかく聴いて頂けば
全てに納得が得られると
言うものだ。
★因みに東宝公演では
マリウス役でよく私の
かつての教え子
山崎育三郎が出演して
いる。【蛇足にて失礼】。