追悼”エレナ・オブラスツォワ。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

ロシアの誇る世界的
メゾ・ソプラノ、
エレナ・オブラスツォワが
療養滞在中のドイツで
亡くなった。75歳であった。
私はつい先日、本ブログに
ウィーンでの名舞台の
記録として彼女とP・ドミンゴ
の共演。C・クライバーの指揮
の下、上演された
歌劇「カルメン」の映像を
貼ったばかりである。
誠に残念でならない。
かつて私は全盛期の彼女の
オペラ・アリアの夕べ”と
名打ったコンサートを
東京文化会館で聴いているが
その時の感動・感激は
今だ脳裏から離れない。
凛とした力量溢れる、その
歌唱はまさに世界最高水準の
パフォーマンスであった。
又、近年は我が国においても
武蔵野音楽大学で客員教授を
務めるなど後進育成の
一翼を担い優れた教育者として
この日本の音楽芸術の
素地発展の為、尽力を
惜しまなかった。
返す返すも残念であるが
同時に又、ここで時代は
一歩前へ進むのかも知れない。
偉大な芸術家の生きた証を
受け継ぎ、より優れた人材が
次世代を新たに構築する。
その事こそ芸術の世界を
発展へと導く確かな
保証となるのだ。
悲しんでいるだけでは
ならないのである。
ソビエト解体からロシアの
復権。社会制度の劇的変革
と言う動乱の時代を雄々しく
生きた女流芸術家。
世界屈指の名歌手にして
教育者。
エレナ・オブラスツォワの
死に心から哀悼の意を表する
ところである。
【全盛期の歌声”エレナ・オブラスツォワ。】