ゴージャス…!重厚のアメリカンサウンド。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

本日のEテレ、クラシック音楽館は
アメリカの誇る
シンホニー・オーケストラの名門
フィラデルフィア管弦楽団の
4/3東京サントリーホールでの
来日公演のオンエアであった。
指揮はヤニック・ネゼ・セガン。
ご承知の通り、このオーケストラは
アメリカ各地に本拠地を置く
オーケストラの中にあって
まさにコンサートに主眼をおき、
オペラ等のいわゆるオケピに
入る事のない生粋の
シンホニー・オーケストラである。
20世紀中期には名指揮者
ユージン・オーマンディが率い
そのサウンドは躍動的で
芯のしっかりした佇まいを特徴と
した明るく、それでいて尚且つ
ヨーロピアンテイストとでも
言うべき重厚な奥行き感をも
兼ね備え古くは、かの
ラフマニノフが存命中、
ピアノソロを担当して
自ら作曲したコンチェルトを
作者共演と言う形で実現させた
信頼のクオリティーを
今も尚、堅持している。しかも
その精度は先年亡くなった
ドイツの巨匠、
ウォルフガング・サヴァリッシュの
音楽監督在任中から益々その
輝きを増し、欧州の伝統的な
深く洗練された美質を身にまとい
その音楽の総合的完成度は
飛躍的向上を遂げ今日に至っている
のである。
今回の公演プログラムは
モーツァルト、マーラー等々
ウィーンを中心に時代は違えど
共にヨーロッパの音楽的素地を
内在した代表的作曲家の最も
著名な作品を取り上げていた。
若き次世代のマエストロ
Y.N.セガンの指揮も充実した
ものだった。スピーディーで
攻撃的ですらある様な躍動感と
ふくよかな色彩。飽きの来ない
明瞭な演奏だ。モーツァルトの
41番シンホニーなど、
昨今これ程、小気味好いリズム感に
満ちた演奏についぞ
お目にかかった事がなかった。
見事である。
マーラーの1番シンホニーでは
これぞアメリカンサウンド!
ゴージャスにして奥行き感
豊かなそして音色が
如何にも新鮮だ。若きマエストロの
面目躍如この上ない。
全ての表現が音楽を演奏する
喜びに満ちている。これも又、
オーディエンスに取っては実に
ありがたい。
ピアノの前で日がな一日、楽譜と
にらめっこをしていてもこう言う
演奏に接すると、それはそれ。
音楽に接して受けた疲れが
音楽によって癒される。
やはり音楽とは私に取って
かけがえの物なのだとつくづく
感じる次第!。
今日のクラシック音楽館は
そんな特別な時を私に
与えてくれた。
【いや~音楽家で良かった。】
今、私はそう思いつつ又、明日と
言う日を迎え様と
しているところだ。
(ルチアーナ筆。)