今まさに時代は如何に膨れ上がった
膨大な情報をより効率的に処理するか
日進月歩の技術革新、最先端テクノロジーのオンパレード、目まぐるしく
その時の流れは留まる事を知らず我々は否応なしにその渦中へと巻き込まれる現状にある。アナログとデジタル古くて新しい、物と技術とのせめぎ合いそれは実のところオーディオ再生の世界にも共通する課題だ。私は何度もしつこい様だが声楽家であって演奏家であるが又、他方熱心なオーディオ及びヴィジュアルのハイエンドマニアでもある。私は常日頃から音楽に携わる者として出来る限り音楽を美しく再現する事に傾注している。その為にはどんな負担も基本的には厭わない。演奏家としては自己修練の徹底が何よりでありそれしか演奏家として人を引きつける事は出来ないし美を追求する手立てはない。演奏家は全てそこに執着して日々生活している。所が音楽を平たく言えば自分の演奏以外の音源を聴くとなると、途端に対応がお粗末になる事が多いのだ。自身の音楽作りにしか興味がないと言うある著名な演奏家もいるくらいだ。だが私はそこが違う。私は音楽再生においても最高のクォリティーを目指したいと思っているのだ。通信革命が盛んにクローズアップされている昨今、ハイエンドオーディオの世界でもそれは御多分に洩れず盛んに導入されつつある。USBやSDなどコンパクトで高精度サンプリングによる高音質、PCによりダイレクトに高音質素材を簡単に取り込む事が今や主流になりつつある現状、だがこれには些か私は違和感が付きまとっている。何故か、それは物を持つ事の尊さがこの技術革新には残念ながら皆無だからだ。私のオーディオの音源の主流は依然としてCDだ。気が遠くなる程の所有枚数であるから正確な数は言えない。それに何と言ってもまだ現役のアナログレコードがこちらはのべ1200枚程の所有となる。世の中にはスーパーマニアがいて私の1200枚などと言う数はとても誇れる所有数ではないが常にこれがベストのコンディションで再生可能である事は少しは自慢になるかもしれない。この様にオーディオではソフトウェアとしてのユーザーの所有欲を最大限満たしうる物の価値を付加する事が私は不可欠の要素だと思っている。クォリティーを追求する中で発想を転換して行く事は確かに重要には違いない。情報伝送技術の発展はまさにその事を端的に意味するものだ。安価なPCでも情報を取り込むだけなら容易く行える訳だし情報にロスも生じない。後はそれを高精度処理し高音質化したアナログ信号として増幅、質の高いシステムで鑑賞すれば立派にオーディオ再生環境は整う。アナログレコード創世記以来我々はオーディオと言えば回転メディアを中心に考えて来た。CDもデジタルだがターンテーブル上で回転しそれをピックアップレーザーで刻まれた情報を時間軸を基にリアルタイムで読み取りアナログ変換する。実はこの今迄当たり前だった音楽の再生プロセスに落とし穴があると言うのがPC派の主張なのだ。回転しているソフトから順次情報を読み取るという事は情報処理の前段に読み取る為のメカニズムが当然必要となる。即ち、ピックアップの精度、良し悪しが密接に関わって来る。この点だ。最悪読み取りのエラー等、トラブルを覚悟しなければならない。対してPCでの処理はというと取り込んだ情報をそのままアナログ変換するだけ、読み取る必要がない。従って情報の取りこぼし、ましてやエラーなど決して起こらない。それはそうだ。最初から読み取るという事をしないのだから…。合理性に富み最高のサウンドをも生み出す手法。ある意味大変洗練された事なのかもしれない。しかしどうだ!私は大切な芸術作品のやり取りを上着の内ポケットに忍ばせたICチップ一枚に取り込んで行うのにはどうしても抵抗がある。手のひらに握られたチップに何百何千の楽曲が入っていて貸し借りも容易、しかし道端で不意に落としたら拾うのに一苦労…。コンタクトレンズでも有るまいに。これは時代とのせめぎ合いだ。水掛け論になるし最終的には好みの問題と言う事になってしまう。いずれにしても多くのエンジニアが精魂込めて作り上げる音源をどう聴くか。再生は新たな演奏なのだ。システムをどう構築して理想の再生を実現させるか。大きな課題だ。そして形ある物の価値の問題も…。CDが世に初めて出現した時それまでのアナログレコードはもう要らないとまで言われたが、さにあらずアナログレコードは今も失くなる所か新たな進化を遂げ今日まで健在を誇っている。オーディオは確かにかなりの投資が必要だ。しかし、私はいつも思っている。「無形なるものは値が張る」のだと…。オーディオに向かい合うスタンスはPC派、私の様なオーソドックス派各々捉え方価値観の相違はあるものの、レコード演奏を成し遂げるその根幹には変わりはない。まあ精々、切磋琢磨して良い音を創成しようではないか。決して大袈裟な話では無く音楽文化の発展の為にも…。良きレコード演奏家として。
(ルチアーナ筆。)8/25現在。
「私のオーディオシステム紹介。
スピーカー。
マッキントッシュXRT22。
プリアンプ
アキュフェーズC2800。
CDプレーヤー
マランツSA-11S 1。
デノンDCD-DSA 1。
パワーアンプ
マッキントッシュMC500。
アナログプレーヤー EMT938。
(TSD15カートリッジ)他。
9.1DSPサラウンドステレオ対応。
“自慢する様だが安物のミニコンポでは
絶対に得られない音楽の世界感がここにはある。それがハイエンドオーディオシステムだ”。