白鳥の歌。続 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

ノックの音。「はい!」妻の応答に
客室係の男性が「市澤様、お連れ様が
お見えになられましたので、ご案内
致しました。」と歯切れの良い声で応答、「ご苦労様、どうぞ仲へお連れして!」今度は私が声をかけた。
さあー、これからの食事を挟んで流れる数時間、今後の私と妻まゆ美の
生き方が方向付けられる決断の時となる。昨今はまだこの時間、日は充分に高い。だがこの後話はとうとう深夜に及んでしまう事となる。
だがそれが又、今この時は想像だにしていない新たな運命的出会い、出来事へと私達夫婦を導くプレリュードである事をまだ私も妻も、知る由がない。そしてそれは、数時間後、私の話に
沈痛な面持ちでホテルを後にする
諸兄を見送った後、我々夫婦が自宅へ向かって走らす帰りの車中
道すがら目をやった光景から始まり
ここから全てが起り始まる。
しかし、その奇跡の様なその話の前に前段の話に戻ろう。
ホテルでの一連の話に…。
テノール歌手、市澤陸奥(むつむ)の
妻を巻き込んでの生きざまが
これより明らかにされる。(続く。)
ルチアーナ作。