約1か月ぶりのHarvest Deli。
朝、私にしては遅めに起床して真面目に作業。
腹が減ったと時計を見たら14時近かった。
何か食べたい。
旨い物が食べたい。
そういう時はHarvestだ。
いまだかつて、ここのメニューには裏切られたことがない。
今日も裏切られることはなかった。
あまりにも美味しいので、本も読まず、スマホも見ず、ただにまにまと笑いながらサンドイッチをかじった。本当に美味しい物は人を笑顔にする、というのは本当だ。お笑い番組では99%笑えない私をここのサンドイッチは常に笑わせてくれるのだった。
満腹で乗ったバスで、メガネをかけた、もっさいファッションの、多分大学生くんが隣の席に載せいてたバックパックをよけてくれて座ることができた。やれありがたや、とバッグを抱いて座ると懐かしい音が。
カタ、カタタン。
カタタタタン、カタタ、カタタタン。
ちら見した多分大学生くんの手には、昔懐かしのルービックキューブが。
そう。
この独特の音はルービックの早回しですよ。
普通の人は多分、カシャ……カシャ……。
ちょっと慣れた人だと、カシャ、カシャ、カシャ。
で、スーパー慣れた人だと上記のような小気味よい音になる訳です。
ぼーっと前を見ているふりして、横目で多分大学生くんの手元をチェック。
おおー、回してる、回してる。
速い、速い!
乱しては揃え、乱しては揃え。
両手だけじゃなくて、片手でもくるくる。
右手だけじゃなくて、左手でもくるくる。
片手スマホに、もう片手でくるくる。
"Great maneuver, lad"
私がヘミングウェイか北方謙三レベルの男だったら、そうさりげなく声をかけたかった。
しかし残念ながら私はこれでも女の端くれで、無造作に青年に話しかけられるほどの人生経験も無い。ゆえに私は感動を抑え込み、ひたすら無関心を装い、沈黙を守り続けた。
カタタタタン、カタタ、カタタタン。
何だか眠くなってきた。
好きな物で満たされた腹と、手品のごときキューブの音が心地良い。
ああ、幸せだ……
私の方が先にバスを降りた。
席を立った時、多分大学生くんがちらりとこちらを見上げた。
あ、やっぱり何かコメントした方がよかったのか。
すまない。
気の利いたことが言えなくて。
「お上手ね」
60までには、そんな台詞をさらりと言えるようになりたいものだ。
(そして、いくらなんでも還暦までには永久帰国している予定)