ずっと本棚にあり、何度も読んだ3冊。手持ち無沙汰なとき、つい手に取ってしまう。以下敬称略。

⭐かもめ食堂(群ようこ)
自分の気持ちに素直になって生き方を決め、周りの評価やお金のことなんて気にせず、自分の生き方を貫く。その中で人との繋がりも出来ていく。これはまさに自分の理想である。そんな理想の生き方がそのまま書かれた作品。小林聡美主演の同名映画もとても好きでDVDも買った。あまりに理想的すぎる?小説だからいいんだよ。読むと心が落ち着く。

⭐占星術殺人事件(島田荘司)
初めて読んだのは中学生のとき。読後の衝撃は未だに覚えてる。あんな衝撃はこの本だけだ。占星術という西洋的なものと日本の独特な東洋的閉塞感が同居する不思議な世界、御手洗潔の濃すぎるキャラとジェットコースターのようなスピーディーでトリッキーに展開するストーリー、トリックのシンプルかつ大胆さ、そしてラストの静かで穏やかな幕切れ。凄い、凄すぎる。
ただ、改訂版の加筆部分は自分には要らなかった。先生には申し訳ない。

⭐探偵はバーにいる(東直巳)
ススキノ探偵シリーズの1作目で、このシリーズは大泉洋主演の同名映画の原作になっている。
これは作品の独特な雰囲気がとても好き。人生を達観したような淡々とした、でも熱いところもある探偵「俺」と何とも言えない曲者「高田」のペア。彼らの醸し出す飄々とした空気が好きだ。札幌・ススキノという地方都市の繁華街が舞台。「俺」はススキノで仕事をして生活もしているので、町が中にいる人の視点から書かれているのが面白い。作者が北海道出身なので描写がとてもリアル。ストーリーはあまり好きではないが、この本はなぜか気に入って何度も読んでる。