リンパ腫や乳がんは進行が早く、転移すれば命に関わるため要注意。
猫のがん(悪性腫瘍)のなかで特に多くみられるのは、リンパ腫と乳がんです。
リンパ腫は猫にもっともよくみられるがん(癌)で、若い猫に発生するタイプと高齢猫に発生するタイプがあります。
乳腺腫瘍は避妊手術をしていないメスの猫にみられる腫瘍で、人間と同じように乳房にしこりができます。
猫に発生するがん(悪性腫瘍)には、おもに次のものがあります。
猫に発生するおもながん(悪性腫瘍)の種類
・体表(皮膚)にできるがん
乳がん、肥満細胞腫(皮膚型)、扁平上皮がん、子宮がん、胃がん
・体内(臓器や口の中)にできるがん
肥満細胞腫(内臓型)、繊維肉腫、鼻腔腫瘍、黒色腫(メラノーマ)
・骨にできるがん
骨髄性腫瘍
・その他のがん
リンパ腫
リンパ腫はリンパ球(白血球の一種)ががん(癌)に侵される病気です。
発症してから、わずか1~2ヵ月で命を落とすこともあります。
リンパ腫は腫瘍ができる場所によってタイプが異なり、2~3歳の猫に多い胸腺型(縦隔型)リンパ腫、6歳以上の猫に多い消化管型リンパ腫などがみられます。
このうち胸腺型(縦隔型)リンパ腫は、猫白血病ウイルス(FeLV)の感染で発症すると考えられています。
猫が乳腺腫瘍になる割合は、犬の例ほど多くはありません。
しかし、先ほども述べたように、猫の乳腺腫瘍の8割以上が悪性の乳がんとなるため注意が必要です。
猫の乳がんは犬よりもやっかいで、がん(癌)が急速に増殖してリンパ節や肺に転移するうえに、手術による治癒率も高くありません。
猫の皮膚がんは、あまり多くはみられませんが、扁平上皮がんや肥満細胞腫などの悪性腫瘍には気をつける必要があります。
扁平上皮がんは白い猫に多くみられるがん(癌)で、紫外線が原因で発生すると考えられています。
発症すると、鼻や耳の皮膚に小さな潰瘍ができ、出血や悪臭を放つようになります。
肥満細胞腫は、肥満細胞という細胞が腫瘍化する病気で、発症部位によって内蔵型と皮膚型に分けられます。
皮膚型を発症すると、おもに頭や首のまわりに腫瘤(しゅりゅう:コブのこと)ができます。