どえらい間があいてしまいましたが、前回に引き続き歌舞伎の中の伊達騒動についてです。

 

 

ぽってりフラワー『伽羅先代萩』(めいぼくせんだいはぎ)

1【花水橋】

2【(竹の間)(御殿)(床下)】

3【(対決)(刃傷)】

 

だいたいこの3場面での構成ですが、その時によって場面が省略されたり、ひとつの場面だけ上演されたりもありますし、敵役が女形になったりと時代においても色々なのよ。

 

上記の構成は明治以降のものでありますが

江戸時代にもタイトルは違えど、あちこちで上演された人気の演目なのだ。なんせ、あの伊達の殿さまのスキャンダルですからね。

 

身分制度の厳しい時代。お侍さまの吟じに触れちゃお咎めがありますから、時代は鎌倉時代に、登場人物名も別名に置き換えられています。

 

お上からなんやかや言われても、興行主は

 

「はあ?時代も人物も違いますけどぉ。そんな大変な話が実際おきちゃったんですかぁ?しりませんでしたけどぉ~。」

 

って逃げおおせますからね。したたかなもんです。

さて、おもな登場人物は

 

3代目藩主伊達綱宗=足利頼兼

亀千代(幼少の伊達綱村)=鶴千代

綱宗の側室三沢初子=綱鶴千代の乳母正岡

老臣・渡辺外記左衛門=伊達安芸

 

原田甲斐=仁木弾正

大江鬼貫=伊達兵部

 

このほかに、仁木弾正の妹として「八汐」

綱宗公の命を救う力士の絹川谷蔵(かっこいいぞ!)

忠臣・荒獅子男之助(苦労人だぞ!)

 

などなど登場人物も多彩。

ざっくり言えば仙台藩のお家騒動を元ネタに背景を変えて奥州の足利家を家臣の仁木弾正(原田甲斐)が妹とともに乗っ取ろうと悪だくみするお話になっています。気になる内容はと言うと

 

1【花水橋】の場面

ここでは、足利頼兼こと3代目藩主伊達綱宗の放蕩ぶりが描かれています。酒だ女だと遊び歩いたあげく、「お命頂戴!」と暴漢に襲われて、おかかえの力士に命を救われるという場面。

命の危機にも慌てふためくことのない綱宗公の品の良さも描かれますが、危機感のないふわっふわの殿さまにも見える微妙なところ。

勇壮な殺陣は力士の見せ場で殿さまはどこ吹く風。

 

放蕩三昧の殿様が、隠居となるエピソードが描かれるためどうしても駄目な殿様という印象を植え付けられるわけですが

 

しかもですね

公演によってはこの場面の流れで綱宗公が身受けした高尾太夫の吊るし切りの場面が入りますので

 

『ギャー!このバカ殿めがー!!』

 

ってなるわけですよ。

しかも、恋人への操を立てて命を落とすのは、江戸でも屈指どころかナンバーワン美女の高尾太夫ちゃん。

 

『ギャー!もったいねー!!』

 

ってなるよね?なるよそりゃ、なんといっても『高尾太夫』だもの。

ここで『高尾太夫』の説明を少ししますが

 

あれ?なんか『高尾太夫』って、よく聞くよね?何人もいるんじゃね?って印象の方もいるんじゃないでしょうか。

それもそのはず。実際、複数の高尾太夫が存在したのです。いわば美女の代名詞。

 

吉原の三浦屋が抱える遊女の中でも、最高の遊女だけが名乗れる源氏名なので、歴代の高尾太夫が存在します。その代わり同時期に高尾が二人は絶対にないこと。太夫of太夫の、芸も達者で教養もあり、かつ絶世の美女という、高尾の名に相応しい遊女が現れるまでは欠番扱いになる最高位なのです。

 

中でも、お話の中に登場するのは高尾太夫の中でも人気の高い2代目高尾太夫(仙台高尾とも呼ばれます)

花魁のイメージであっていますが、太夫の立場の遊女が花魁の名で呼ばれるようになるのは宝暦(1751年)以降のことなので、実在の仙台高尾の時代には「花魁」とは言わんのですね。

そもそも、「太夫」ってのは官位、職位の名でありますから、遊女につけるだなんて御法度のような気もしますが、咎められもせず名乗っていられたからには、まあそれだけ「別格」な扱いをされた高級娼婦ということですね。

 

一晩の価格と言えば、お中元さんの年俸より上ってんですよ。しかも、太夫ともなれば『こんばんは。はじめまして。さあ寝よう。』とはいきません。

 

御対面で終わる「初回」

二度目が「裏」(野球かよ!)

三度目の対面で「馴染み」となって初めて床をともにできるっちゅう、本物のお金持ちにしか抱くどころか会うこともかなわない、まさに傾城の美女なんだわね。(店によっては初会から3度目まで金額がステップアップすることも)

 

となると

 

庶民にとっては、ひと目といえど見ることあたわず、天上の上のお姫さんのような各人の想像上MAX極まる美女が出来上がるわけです。

そんな女神のような美女が、バカ殿に、船中で吊るし切りにされて川に打ち捨てられる。しかも、遊女ながらに恋人のためとい可憐な設定のうちに惨殺されるわけで。

 

「オレだったら、たとえ振られても高尾ちゃんの味方だぜ!」って男衆が熱くなるのも無理ないところ。

 

おしばいです。お芝居ですよ??

しかし、元ネタが実際のお家騒動ですから、どうしても

 

「ありゅあ本当の話らしいぜ。」って、なっちゃうよね~。

 

伊達の殿様の株価は急落。高尾太夫の人気はウナギ登りって状況になってしまいます。

 

わからないではないですが、噂話の結果のフィーバーなんかいつも、事実無根でこんなもんですよね。

 

ちなみに、高尾太夫のあまりの人気ぶりに

綱宗公は実際に太夫の身請けをしていないにもかかわらず、仙台に高尾太夫の墓ができあがる始末です。(実際にはもとからの側室のお墓)

 

さて、やっと歌舞伎の中のお家騒動に本格的にふれることができました。

 

次回は【(竹の間)(御殿)(床下)】の場面について、お話したいと思います。

 

しからば、ごめん!

 

 

 

【政宗公大好き!共感ポチお願いします】

にほんブログ村 地域生活(街) 東北ブログ 宮城県情報へ
にほんブログ村

 

【もひとつ参加。両方押していただければ幸い】