『敗者復活』by藤田宜永
少し前になるけれどGW、直木賞作家・藤田宜永さんにいただいた本↓
- 敗者復活/藤田宜永
- ¥2,100
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先代社長から引き継いだ粉飾決済が公になり、刑務所に入り、出所後は下町のバッティングセンターを経営しながら細々と暮らしている主人公が、思いがけないトラブルに巻き込まれていく話。
単純にハードボイルドやエンターテイメント作品とするならば、人間描写を単純化したほうがスッキリとしたものになりそうなところ、藤田さんの登場人物の描き方がとても丁寧で、その結果、ただのハードボイルド、もしくは、ただのエンターテイメント作品ではなく、深みのある文学作品になっている。と感じた。
藤田さんはきっと、ストーリーを書いているというより、ストーリーを通じて人間を描いているのではないだろうか。
人間の機微を楽しめる素晴らしい作品。
ちなみに、主人公の名前が「邦彦」で自分と同じ。そういう小説って、初めてだったけれど、3割増しに楽しめた気がする(笑)。
KABALEVSKY:Piano Sonatas
- Kabalevsky: Piano Sonatas (Complete)/Dmitry Kabalevsky
- ¥961
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お洒落な現代アートを連想させる不思議な現代曲の数々。
メチャ格好いい。凝り固まった頭をほぐして、新しい発想が生み出そう。
ピアノのCD、久しぶりに買ったけれど合計で74分しっかり入ったこれが961円って、安くない??
さーて、プロの演奏は置いといて、明日はピアノ発表会。
これからゴルフなのだけど、大丈夫かな。。
『祈望』by藤崎慎吾
- 祈望/藤崎 慎吾
- ¥1,470
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母と娘を殺した少年。少年法に守られた犯人と、逆に家族を失うだけでなく社会の好奇の目に晒され二重に苦しむこととなった遺族の話。
『告白』でも『十字架』でもない、けど、家族を殺された遺族の手記風な感じで話が進んでいく。
遺族となった父と息子は、それぞれ事件を追う過程で犯罪を犯す人間(加害者)と、犯さない人間(被害者)との間に一体何があるのか考えることとなる。
何故、人を殺すという一歩を踏み出してしまったのか。その原因は、本人のせいなのか、脳の個人差によるものなのか、それとも取るに足らないような小さな外因によるものなのか。
『異邦人』以来、語り古された小難しいテーマだけども、より現代的なアプローチをしているだけでなく、読みやすい文体なので一気読み必至。
読後に残るものがあるのがいい。