『敗者復活』by藤田宜永
少し前になるけれどGW、直木賞作家・藤田宜永さんにいただいた本↓
- 敗者復活/藤田宜永
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先代社長から引き継いだ粉飾決済が公になり、刑務所に入り、出所後は下町のバッティングセンターを経営しながら細々と暮らしている主人公が、思いがけないトラブルに巻き込まれていく話。
単純にハードボイルドやエンターテイメント作品とするならば、人間描写を単純化したほうがスッキリとしたものになりそうなところ、藤田さんの登場人物の描き方がとても丁寧で、その結果、ただのハードボイルド、もしくは、ただのエンターテイメント作品ではなく、深みのある文学作品になっている。と感じた。
藤田さんはきっと、ストーリーを書いているというより、ストーリーを通じて人間を描いているのではないだろうか。
人間の機微を楽しめる素晴らしい作品。
ちなみに、主人公の名前が「邦彦」で自分と同じ。そういう小説って、初めてだったけれど、3割増しに楽しめた気がする(笑)。