1.イタズラはキス (翔潤)


SideS


毎年全国各地でハロウィンは祭り状態だ。  

ちっとも興味が無い俺にとってどうでもよかった。

だが、ただの俺に興味を持ってくれた恋人となったから興味というかは感謝の日ではある。


「しょおくん?」


「うん、今年は赤ずきんか?」


「そう、可愛いでしょ?」


「もちろん、可愛いけど…そのままの潤も可愛い」


「ありがと、でも、コスプレするなら可愛い方がいいでしょ? 僕、まだ子供だからね♡」


うん、そう、俺だってまだ未成年だ。

もう少ししたら成人だけど。

潤はもうすぐ中学生の歳だ。

じゃ、いつから恋人かって?

2年ぐらい前だな。

たまたまハロウィンの日に出会って。

近所ではあるが反対方向の道の方だからあまり使わないためなかなか会う機会はなかったから初めてだったんだ。

その時は可愛い黒猫のコスプレだった。

Trick or Treatされたが俺はお菓子を持っていなかった。

すると潤はなら俺の唇を貰うと言ってきた。

意味わからなかったが俺が何か言う前にキスされちゃった。


奪われたことに怒る気はなかった。

可愛らしかったし俺は子供を泣かせる天才だから不機嫌を感じ取られるとすぐ泣かれてしまう。

が潤は笑顔のままで。

なんで奪ったのかと聞いたら欲しいからと。

俺を? 男なのに?

子供の遊びかと思ったが何となく嘘を言う気がないと思ったから。

受け入れた。


思わずちょっと不機嫌になれば潤は慌てたが泣きそうな瞳が何となく俺がそんな顔させるのかと。

いつもは面倒だと思うのにそんなこと無かったから

じゃ、思い切って素直に受け入れてみようと思った


ただしきちんと健全なお付き合いをしている。

潤は素直すぎるから平気で潤の両親に恋人になったと言ったのはさすがに焦った。

だが、優しい両親はずっと付き合えるならいいんじゃないかと。

否定することは簡単だと。

確かに男同士を否定することはいくらでも出来る。

未成年もあり更に否定されると思った。


俺の両親は正直俺のことを産んだ母親とは会っていないからなんとも言えない。

だが父は反対されたし育て親のお母さんも反対した

別に言う気はなかったがバレてからじゃ色々後から怒られるのは嫌だったから。

分かってる、分かってるよ、この家でそんなことは望んじゃいけないことぐらい。

父の後継、お母さんのご機嫌取りしないといけない日々は最悪だけど。


でも、大人になったら出ていくことを言ってやったし縁切りも言ってやった。

婿入りでも問題ない。

幸せを考えた結果だ。


俺にとって新鮮さが欲しくて俺自身を見てくれる人が欲しかった。

学校に行っても○○の息子だの金持ちだの言われ続けられる。

カッコイイや頭いいもある意味迷惑だ。

別にこれといったことはしてない。

言いつけられたことをしてたばかり。


「しょおくん、Trick or Treat?」


「残念ながら持ってないな」


「じゃ、沢山キスしちゃうからね♡」


「それ、イタズラになるのか?」


潤は聞こえないフリをしたらしくキスしてきた。

うん、別にね?好きな人からのキスな以上可愛くて最高なイタズラになるだけなんだよな…

何度も受け入れてされるがままになっていると潤がぷくっと頬を膨らませてるから慌ててご機嫌とることに専念した。


「潤からのキスは嬉しいからそのまんまにしてたんだけど」


「うん」


「中学になったらちょっとだけ大人なキスしようか」


「いいの?」


「そうだな、来年のハロウィンは大人なキスも含めて少し進もうな?」


「ありがと♡」


うん、すっかりご機嫌になってニコニコしてる。

良かった。 頬膨らます姿は可愛いが怒るよりも拗ねられたら困る。

暫くそっぽ向いたままでお話することになるからな

来年はもう少し大人の階段登って…いつかは全部俺のものだって教えられたらいいな。


ーーー

2.ほぼ一目惚れ (翔潤・潤翔)



SideJ

噂は聞いたことあるでしょ?

ヴァンパイア。

でも誰も本当にいるとは思ってない。

でも、僕はヴァンパイアに興味がある。

そして、その研究を志願したのは僕。

噂のヴァンパイア、そういう未知なる研究が好きな研究員は噂を信じて僕に調査するよう言われた。


「貴方が?」


「はじめまして。松本潤です


「潤さん? 僕は櫻井翔。 見た目は吸血鬼らしくないけど僕でよければどうぞ


「ありがとうございます」


人間にバレないように姿を人間にしてるかららしくないのは当然だと思ってる。


「それにしても僕が吸血鬼って話は噂として流れてはいるが僕はその姿を見せた覚えがない。 ガセネタとも言えないから複雑だけど」


「なるほど…」


「でも、まぁ信じる人がいるとは思ってなかったからね。 潤さんみたいに純粋な好意は嬉しいよ


「僕は信じてますからね」


「ありがとう。 じゃ、僕が人の血を吸うところとか見れるの?」


「ええ、気になるし。 でも、人が亡くなるところはちょっと…」


「そこまでしないよ。 それしちゃったら人口減少に繋がって生きにくい世界にするだけだから。だからまぁ輸血パックを中心に。 後は赤身系のお肉、お魚。 ワインとか」


「本格的ですね」


「聞きたいことはある?」


沢山話してくれる櫻井さんには感謝だ。

うん、聞きたいこと沢山あって頷く。

でも、普通はそういうの隠したいはず。

なのになんで受け入れてくれたのだろう。


「太陽の光が苦手なのは本当ですか?」


「真夏の太陽の光はちょっときついな。 年々そんな感じするよ。 最近は9月上旬でもきつかったりする」


「なるほど…」


「潤さんは夏は好き?」


「うん、でも、最近の夏はちょっと暑すぎるなって思う」


「ほんと? 人間でもやっぱり熱中症という病がある以上ダメだよね暑すぎるって」


「櫻井さんは? 暑い中出歩いたら熱中症にはならないの?もちろん、出ないとは思うけど」


「出る時は長袖。これでも僕の体は他のヴァンパイアと比べて最高気温が35度を超えない限りは涼む場所が近くにあれば出かけるよ。要は光が当たる時間が長ければ大変だけど数分なら基本は平気。35度を超える日は出歩くことはしないことにしてる 


「なるほど。あの、ニンニクや十字架がダメなのは本当ですか? 」


櫻井さんはクスクスと笑って面白そうに僕を見ている。じゃ、嘘なのかな?


「残念ながら僕は違うよ。でも、その通りなヴァンパイアもいるしどっちかは当てはまるヴァンパイアもいる。 僕はよく教会に行くんだ、神聖な場所だから大切にしている」


「そうなの?」


結構人間らしい生活してるんだ。

そりゃそうだよね、どれも生きるためだよね。


「神様は先祖様のことかなと思ってるからね。 質問ありがとう。 僕は退屈した日々だから楽しいよ」


「それなら良かった」


櫻井さん、楽しそうだからよかった。

ヴァンパイアってもう少し怖いのかなって思った。

見た目だけじゃなくて言葉とか性格とか。

けど、そんなことなくて。

とても親切だと思う。


「でも、そうだな、手離したくないかも」


「え?」


「だって、僕のこと知り終えたら戻るだろ? 僕は寂しくなってしまう」


なんか可愛い…

僕はまだ知らないこと沢山あるし。

まぁ確かに研究終えたら終わりだけど…

そんなふうに言われたら僕だって貴方とお話するの楽しい。


「僕もそれで終わりなのは寂しいかな」


「嬉しい。同じ気持ちなんて」


人間だからヴァンパイアだからじゃない。

それを超えた存在。

昔から僕は変だった。

男にドキドキしてしまう自分が嫌だった。

同性だから恋はしちゃいけない。

でも、貴方を手に入れたいと思ってしまう。


「なんか照れちゃうよ、僕、そんなふうに見られるの慣れてないしそもそも僕は日陰だからね」


「そんなことないよ!!」


「あ、あの、僕、潤さんが眩しいの。 本当は人間のことを好きになりたいのにいつも余裕ぶって人間なんか要らないし人間なんて見下すと思ってしまう」


「櫻井さん…」


そうだよね、人間だって羨ましいことがあったり見下してしまうことがあるから当然ヴァンパイアにあってもおかしくない。


「ね、僕のことそれでも好き? 勘違いじゃないよね、物欲しそうな瞳をする潤さんを見ると僕はドキドキする」


「人間だってドロドロな感情なんていっばいいる。だから櫻井さんが持ってても気にしないよ」


「名前で呼んでくれないとイタズラするよ?」


可愛い…

呼ばなかったらどんなイタズラなんだろう。

てか、ほんの数時間で好きになるなんてどうかしてるよね。


「翔さん、翔さんのことを全部知ったなんてことは無いと思うけどそれでも好きだよ」


「ありがと♡ 潤さんカッコイイから僕、心臓持たないかも」


「そうかな?」


僕はかわいい系だと言われてきたけど翔さんにカッコイイと思われるの嬉しいな。


ほんの偶然なのに好きになって愛してしまって。

研究員はやめてしまった。

だって、好きな人を研究対象としてなんてみれないからね。