SideJ


今日はホワイトデーらしい。

バレンタインの方が学校で話題になるから忘れていた。

今年のバレタインは好きな人に手作りチョコを渡して告白してみた。

相手は大人で家庭教師の先生なのに。

でも、いつもいるとドキドキしてこの時間が終わってしまうのは悲しくて。

相手は気持ちだけは受け取るって。

それ以外は?まぁ好きだとは言われてないけど。

考えてくれるとは言ってくれたからいいのかな。


「俺は潤くんみたいに手作りなんて出来ないから。けど市販なのもどうかと思って花束にしてみた」


今日はホワイトデーなのに普通に授業があって終わると先生が花束を渡してきた。

え、花束…?

お返しならチョコだと思ってたけど考えてくれたことが嬉しいし花束って貰ったことないからビックリする。


「白い薔薇…」


「ホワイトデーだからな。 潤くんの気持ちを考えて悩んで俺も同じ気持ちだなって。 だから先に潤くんの両親にお願いしてきたんだ」


「え?」


僕の両親に?

どうしてそこまで…

それにダメだと言われなかったの?

僕は先生が好きなことは両親には言ってないけど。


「好きだよ、凄く好きだ。 俺の恋人になってください」


「僕の方こそなってくださいだよ。 嬉しいです」


「良かった。 俺達のネックになる部分は両親だと思った。 バレたらどうしようってなる前にきちんと話して納得してもらうことにしようと思って先に両親に話して潤くんの両親にも納得してもらった」


「そっか…」


確かに僕、分かりやすいと思うから聞かれたら動揺してしまうと思う。

その前に分かっていたらそういうことが無くなるよね。


「次に外ではあまりね…。 その分、家で沢山伝えるしもちろん普通に出かけることもしようか」


「そんなに考えてくれてありがとう」


先生がそこまで悩んで一生懸命考えてくれてたなんて嬉しい。

でも、僕は先生に伝えることしか考えてなかったから。

大人だなって思う。


「そこは俺の役目だし。 潤くんには少しでも不安を無くしておきたいから」


「先生…」


「先生呼びは悪くないけど恋人なら名前で呼んでくれたら嬉しいな」


「…翔さん」


なんか恥ずかしい。

でも、名前で呼ぶと本当に恋人なんだと実感する。


「ふふ、潤くんは可愛いな」


「だって…」


恋することも恋人になることも初めてだから。

どうすればいいのかはよく分からないけど。

こんな時間が続くことを望んでいたのだから。


「俺もドキドキしてる。恋人作るの初めてでどうしたらいいのかは正解なんてないから難しい」


そっか。

翔さんも初めてなんだ。


「ほんと?」


「モテると思った?」


でも、怪しい。

だって、どう見てもイケメンなのに…

本当に恋人いなかったのなら女性はどんなイケメンならいいのだろうか。

何度も頷くと翔さんは僕の髪の毛を触りながら


「中学の時にモテたなぐらい。 高校は男子校だし今現在はまぁ、拒否したからな」


「そうなの?」


「別に女性に好き嫌いはないけど同性の方が気が楽でね? だから、大学では呼び出されるの面倒だから忙しいふりをしたりして対策してた」


なるほど…

翔さんにとってはモテることは面倒なことなんだ。

不思議な人だね…普通はモテたら嬉しいはずなのにと思う。


「一緒なんだね」


僕もそこそこまぁ呼び出されるけど断るし。


「こんなにイケメンな顔してる割には可愛いからな。モテ要素ありまくりだろ? 潤くんは。 だからね、取られないか心配だったんだ」


へ? 心配?

僕のこと?


「なんで?」


「いくら俺に告ったからって多分君にとっては返事は欲しいけど曖昧にしたから。 だから出会っちゃったらって思うと情けなかったな」


「僕のこと舐めてる? 僕は翔さん一筋だよ? でも、僕も翔さんの立場ならそう思うかも」


一瞬ムッとした。

僕が翔さん一筋なの知ってるくせに。

そう思ったけどいつから好きかなんて言ってないと思ったから。


「ごめん。 だからね、不安を減らすためと言ったが俺の不安を無くすために両親公認にすれば万が一、他に出来てもどうにかなるかなって


「そうだったんだ…」


「恋人になったから次はデートしような? 今日はキスだけ。 そのうちお互いに覚悟と時間があったら進もう?」


「うん」


ん、翔さんからのキスは本当に好きだなって思わせるキスだね。

離れたくなくてぎゅっと翔さんに抱きつく。

本当はもう終わっていて翔さんは用事があるかもしれないのに。

わざわざ終わってから告白してきて。

まだ終わりたくないって思ってしまうのはダメなことかな。


「帰ろうと思ってたけど潤くんが良ければ。でも、夕飯とかおじゃまするのはまずいからもう少しだけ


「そんなのいいのに、恋人なんだし」


「夜遅くに帰るのは心配するだろ?」


「そうだね…」


それは凄く心配だ。

そう思うと離さなきゃって思うけど。

もう少しだけもう少しだけこうしていたい。


「帰ったら電話するから


「約束だよ?」


「約束する。 その花束に誓ったから


「うん」


翔さんがもう一度キスしてきて今度は僕からキスすると翔さんは嬉しそうになって。


「キスするよりもキスされる方が照れるはなんでだろうな」


まぁ僕はキスする方が照れるけど。

でも、翔さんは逆なんだね。


翔さんが帰った後は寂しくて。

でも、貰った花束を見ると少しだけ翔さんがいるって思えて。


そう言えば花束に誓ったってどういう意味だろ…

んー、花には意味があるって言ってたような。

12本あるんだね…

本当はもっと渡したかったのかもしれないな。

翔さんは一生懸命で誠実な人だからきちんと伝えたい人だと思う。

それなら永遠とかあなただけをみたいなのにすればいいのに12本で1本ずつに意味がある方にしたとは現実的に沢山貰っても隠しきれないと思ったのかな


「赤い薔薇じゃないのにね…」


そこもきっと翔さんの考えなんだろうな。


翔さんに似合う薔薇は赤い薔薇だと思う。

ふふ、プレゼントにお返ししたらどう思われるかな


翔さんからのメッセージが届いてソワソワしてしまう。


早く電話来ないかな…

メッセージは嬉しいよ?

会話しているからね。

けど、声が聞きたいな。

だって、翔さんの声が好きだからね。

そんな僕のわがままを約束として叶えてくれる翔さんが大好きだよ。