SideS
怖い、これ以上、誰かに触れることも好きになることも。
距離を保てれば問題ないのに。
「しょおくん」
子供を好きになってしまった。
10以上離れてるあなたを一瞬にして私の心を動かした。
私はこれ以上好きになりたくない触れたくもない。
というより私は人と直接触れることが出来ない
「僕のこと好き?」
「急に言われましても。 どうしてですか?」
「僕のこと好きだよね? 僕のことを好きになる人の行動は読めてしまうし好きだと思った人の気持ちは読めちゃう」
は・・・
マジか。
思わず崩れそうになる。
この子はただの子供じゃない。
お坊ちゃん、有名な一流ホテルのね。
社長に拾われた俺はそのホテルで働くはずだったが何故か俺は潤様の執事になった。
ちょうど執事が病で倒れてしまい誰もいないのは困るということで任された。
潤様が俺を気に入ったことで全てが決まってしまった。
可愛いけどおませさんでたまに俺の気持ちを知っているのではないと思うぐらい鋭い観察力を持っているし人の心をズケズケと踏み込んでくる子供だ。
ズタボロにされた人もいるらしいぐらいだからただの子供ではない。
「ふふっ、逃げたい? 逃げてもいいけどお仕事だよね?」
選択肢をくれるようでそうではない。
つまり、仕事なんだから逃げれるわけないと言ってきているし俺が逃げたい気持ちを知っているということだ。
「・・・」
「僕はしょおくんが好きだよ?」
「そうですか・・・」
「嬉しくないの?お互いに好きなのに」
嬉しいはずがない。
どうせ俺には恋人らしいことは何も出来ない。
むしろ辛いだけだ。
「成立するとでも思ってますか? 立場上、性別上無理ですよね? それともご自分の立場や性別を理解した上で仰ったとしても私には・・・」
無理だ。
なったら完全に期待されてしまう。
俺の傷を見られる。
俺は素手で潤様を触れることは出来ないどんな人であれ無理だ。
あの日、あの時から父親に触れられた時からもう無理だった。
壊れ始めてしまって壊れて自分に生きる道なんてないと思ってたから自殺も考えた。
でも、それを父親はお見通しで何も出来ることは無かったしバイトはクビになったし。
「何で怖がるの? 僕が怖いの?」
「そうですよ、恐怖でしかありません。 好きになってしまったこと、出会ってしまったことも」
「ふーん、そう。それで諦めるとでも?」
「え・・・」
「怖いのはよく分からないけど。 僕は男なのも後継者なのも理解してるよ? でも、僕はしょおくんを好きになった。 差別なんか気にしないよずっと隣にしょおくんがいてくれるなら」
全然諦めてないな。
頭のいい子供は全く面倒だ。
まだ小学生なくせに。
それから何日か気まずくそれでも仕事なんだから逃げる訳にも行かず食事中とかさすがに潤様のお父様やお母様に気づかれてしまった。
喧嘩したのかと聞かれた時はどうしようかと思った。 喧嘩ではないけど本当の事言えず。
適当に誤魔化すことにした。
「僕、しょおくんが好きだと両親に伝えたよ? だから大人になってもずっとしょおくんだけだと。 覚悟があるならいいんじゃないかって言われたんだ」
行動力ありすぎる。
ただの子供ではないことは分かっている事だが呆れてしまった。
「そこまで言うのでしたら中学生になりある程度生活になれたら考えましょうか。 今の潤様の世界はまだ狭いですから。 ある程度自分の考えを持つ人が増えるでしょうから」
諦める気がないんだろ?
なら、とりあえず今は保留だ。
どうせ何を言っても無駄だから。
その時は腹をくくるしかない。
嫌われてもしょうがない。
過去は決して忘れることはできないし忘れられない。
それでも好きだと言うなら俺はどうすることもできない。
どうしたって俺の負けだからな。
「詳しくはしょおくんから聞くべきだと言われたんだけどしょおくんは傷があるから怖いの?」
「そうでしたか。 それも付き合うことになったらきちんとお話します」
それは最低限言わなければならないこと。
本当にこんな人生最悪なのにな。
生きることが辛いけどそれでも支えてくれてそっと寄り添ってくれた。
潤様のお母様は女優だ。
潤様に似ていて優しくて綺麗なお方。
優しい手でそっと俺の手を握ってくれた。
俺の手は汚いはずのに俺は直接触れられないはずなのに温かくてちょっとだけ嬉しかった。
でも、恋人となると頻繁に・・・
どうしても後ろ向きになってしまうけど。
あなたの強い思いに負けたんだから俺も強くならなきゃな。
なれるだろうか、あなたみたいな心強い人に。
勇気ある真っ直ぐな瞳をちゃんと見れるだろうか。