モンシュリ 前編 



それから夏休みが終わり二学期が始まる。

が何日経っても松本くんは俺に話しかけることは無かった。


弁当を期待してた訳じゃないけど。

俺に教わる必要が無いのか俺よりもいい先生に教わっているのか。


「櫻井先生、ちょっと頼みたいことがあります」


俺に頼みたいこと?

松本くんと仲がいい二宮くんか。 


「どうしたらいい?」


「保健室に一緒に行ってくれますか? 1人じゃ心細いので」


よく分からないがとりあえず保健室に行くことにしたが俺の手を繋ぐとはどういうことだ?


「ちょっとニノちゃん、どういうこと?」


ニノちゃんとは?

相葉先生は二宮くんとは親しいのか?


「相葉先生、あなたは、おバカさんですね? 早くしないと櫻井先生とキスしちゃうよ」


は? どういうことだ?

すると相葉先生は俺と二宮くんを引き剥がした


「だって、ニノちゃん、俺のこと好きそうに見えないから」


ってことは相葉先生は二宮くんのことが好き?

で二宮くんは相葉先生の気持ちを知っていたと言うことか?


「はっきりと伝えてくれなければ困ります」


ん?ってことは二宮くんは相葉先生が好きだけど相葉先生がなかなか言わないから俺とキスするって考えたのか?


するとドアが開いた音が聞こえて振り向くと松本くんが俺の手を引っ張った。


「潤くん、俺に嫉妬しないで? 櫻井先生、潤くんのお母さんはフランスのクウォーター。 」


そうなんだ。

だからフランス人形にも見えるのか。


ってことは・・・

松本くんはフランス語を言った?


引っ張られてついたのは自習室。

誰もいないな。


松本くんは座って黙ってしまった。


なんとなくだけど謎は少しずつ解けたというか謎を解き明かすヒントを二宮くんがくれた。

二宮くんは俺と松本くんが恋人になれるようにと思った。


そして相葉先生のところだったのは相葉先生が好きだから。 好きなのになかなか言ってくれないからきっかけを作った。


つまり松本くんももしかして俺が好きな事はバレてたのか?


そして慌ててネットでモンシュリを調べた。


「俺にはフランス語は理解できない。 すぐに調べなかったことは悪かった。 だけど俺は例え松本くんが嫌っていても好きだ」


「え?」


「だって、俺にとってモンシュリ、つまり俺にとって愛する人だから」


すると松本くんは嬉しそうにギュッと抱きついてきた。


「本当はちゃんと好きって言えたら良かったけど好きを超えちゃったし学校で愛してるって聞かれたら困るし。 英語だと簡単だからほとんどの人が分かっちゃう。 だからフランス語にしたの」


なるほど。

確かにこの場で聞かれてたら困るもんな。

誰もいないからと言ってもし、誰かがたまたま聞いていたらって思うと松本くんの言うことは理解したし考えてくれてたんだと思う。


「分かった。 怒ってないからな? そうだ、名刺あげるから」


連絡先が書いてある名刺を渡した。

今はあんまり話さないけど。


「ちょっと待っててね?」


松本くんはメモ帳に書き始めた。

そして書いた紙を渡してきた。

松本くんの連絡先をゲットした。


「ありがとう、こっちからかけるから待っててくれるか? もしかしたら松本くんが寝てる時間になっちゃうかもだけど」


「うん、分かった。 なるべく待ってるね?」


まぁ、会議がなかったから通常通りに帰れたから良かった。


「先生!!」


「え? 松本くん?」


「先生の家行ってもいい?」


「いいよ」


校門の前で待っていた松本くん。

夜は冷えるのにな。


でも、私服ってことは1回家に帰ったってことだよな。



「先生の家近いね?」


「学校からは近いな」


決めてからは一人暮らしをして生活をスタートさせている。


「先生、作ってきたよ!! 先生の家にキッチン用具も無さそうだから」


「ありがとう、それと家だから先生呼びはやめて欲しい」


気遣いが凄く嬉しかった。

確かに俺の家にはキッチン用具はあまりない。


「しょおくん、唐揚げ弁当だよ~」


可愛すぎるてキスしたい気分だ。

でも、確かに唐揚げ弁当はとても美味そうだ。

お腹減ってる俺にはキスよりも食事の方が上だった為慌てて食べ始める。


「めちゃ美味い!!」


「良かった、しょおくん、料理しないのはダメだよ? せめて焼くだけの料理ぐらいはね」


「そんなことを言われてもな・・・」


俺は焦がした思い出がトラウマでそれ以来作らなくなった。


「分かった。 今度一緒に買いに行って一緒に作ろうね?」


「あ、うん、分かった」


それならいいかな。

松本くんとなら楽しく出来そうだし。


「しょおくん、沢山食べるね?」


「そうか? 松本くんの食が細いだけかと」


そんなに食べてないじゃん。

大丈夫なのかと心配になる。

その後俺は食べ続けるし松本くんはそんな俺を見るだけでニコニコしてる。 

けど、会話がない・・・


「・・・名前で呼んでくれなきゃキスしてあげないよ?」


なっ、何それ。

ダメダメ、可愛すぎてキスだけなんて無理だ。

つまり、名前で呼ばないから黙ってたのか?


「潤、抱きたいな。 愛したいんだ、俺にとって愛しい人だから」


怖い思いをさせるかもしれないけど。

全身で感じて欲しい。


「ふふっ、いいよ? なるべく優しくしてね?怖い思い沢山させたら怒るよ?」


「なるべく頑張る」


潤にキスしてベットに連れて行った。

そうだな、ほんとに愛しい人だ。


たまには違う言語で愛を伝えることも悪くないな。 


「あのね、僕、女の子になりたいって思ってたのしょおくんを好きなるって日本だと厳しい目があるから。 けど、今は良かったって思ってる。 だって、そのおかげでしょおくんと出会えたししょおくんと多少イチャイチャしていても男同士だから仲いい関係にしか思われないし」


そっか。 悩んでたんだな。

確かにまだ男同士と世界はなかなか理解はしてくれない。


でも、増えていることは事実だ。


それに・・・


「潤はそのままでいい。 ありのままでいい。 そんな潤が大好きだから」


だから悩む必要はもうないよ。