SideS


今日はいい推しの日。

俺が初めて潤を推しとして好きになった日なんだよな。


だって、俺はファッションセンスないし面倒だと思ってた人だから。


オシャレなんて面倒でそんな金をかけた服を着る理由が分からなかった。


けど、潤を見た瞬間カッコイイなって思ってさ俺もあんな服を着れたらって。


その時はちょうど高校受験の年で癒しになっていた。


勉強することは嫌いじゃないけど優秀な高校にしろとか将来は医者になれって煩くてさ。


俺の人生、潤みたいに俺の人生は俺が決めたいって思った。


だからまぁバイトOKな高校に通うことにした。


そして雑誌を買う機会が増えた。


潤が写ってるもの全部買って。

でも、満足出来なかった。


本物に会ってみたい。

だからファンクラブに入って。

会う機会があって初めて潤と目が合った瞬間凄くドキドキした。


推しとして好きなだけじゃなくて恋してるんだって。


今日の日付に戻そう。


今日はいい推しの日記念スペシャルでラジオ放送が始まる。


生放送だから潤は家にいない。


「ペンネーム サクラさん。 こんにちは。 Jにとって推しはありますか。 推しがいることで幸せな気持ちに変わりましたがJにとって幸せとはなんですか」


あ、俺の読まれた。

付き合う前からハガキを送っていたからペンネームは変えないことにした。


その時は男がファンだなんて。

バレたらどうなるのかって考えて女らしい名前を考えた。


今はそうは思っていない。

俺のだなってなんとなく分かってくれたらそれでいい。


「んー、僕にとって幸せとは大切な人といられる時が幸せなことだと思うな。 家族がいてくれる事で幸せを感じられている。 そして、僕を応援してくださる方々がいることでこの仕事をやれていて幸せな気持ちでいっぱいです。 推しはいないな」


さすがに俺の事は言えないよな。

ラジオだしな。


いつもよりも短い時間だったけど満足だ。


潤、俺といて幸せだと感じてくれることは分かってるしそうだと思ってくれていることも。


でも、ちょっとだけ俺と出会わなければ違う幸せがあったのではないかって。


「ただいま」


「おかえり」


ギュッと抱きつく。


「誰かを目指してとかしょおくんと恋人になるまでなかったんだよね」


「え?」


「目指すならしょおくん。 幸せは沢山あるけどしょおくんからが1番幸せ」


「うん」


「しょおくん、大好きだよ。 ハガキありがとう」


ハガキ分かってくれてたんどな。

嬉しい。 俺が出したとは言ってないしベンネームも言ってないし。


「俺も大好きだ」


「ふふっ、しょおくんに可愛い」


心配する必要がないってことだよな。

今日も沢山愛されたい。

沢山伝えたい。


たまたま街で偶然だったのにこうして恋人になれたんだ。


凄く運がいいってことだよな。        


「じゅんっ」

 

「ハガキでしょおくんの顔が浮かんだ。だからこれはしょおくんだなって 」


「ふふっ、そっか」


「幸せだって答える為に沢山抱いてあげる」


そりゃ困ったな。

確かに愛されたいよ?

沢山。


でも、愛されてるって沢山実感したいってだけなんだよな。


次の日、俺、動けるかな。


あー、その目は止めること無理だ。

ドキドキしちゃって俺だけの時に見る潤だからこれは止められない。


次の日は動けたけど見える所にキスマークだらけで外に出ることはできなかった。