SideS


大切な人には優しくしたい。


それはずっとどこかにあった。


けど、大きくなると本当のことを言うことが恥ずかしかったり言えなかったり。


反抗期だと余計にそうなる。


「櫻井さんの全部が好きになったの。 男じゃ嬉しくないだろうけど。 やっぱり伝えることって大切だと思った。 僕と恋人になって欲しいです」


そんなある日、後輩の1人が突然告ってきた。


は?


一瞬時が止まった。


受け入れる受け入れない以前にまさか告られるとは思ってなかったからだ。


「俺のこと全部好きなら受け止めなくちゃいけないな。 ありがとう、全部と言ってくれる人ってなかなかいない。 それって見た目だけじゃないってことだし。 嬉しい」


俺はまぁモテやすい。

けど、あんたらは何を見てきたんだ?

俺の見た目ばかり褒めてくる。

俺の中身は? 優しいとかってきくけど。

俺、別に優しくしたいんけじゃないからな?


賢いからって理由もやめて欲しい。

馬鹿だったら告らないのか?

馬鹿は馬鹿でもいい馬鹿がいたりするだろ?

それに、成績だけで決めつけるのも違うから。


ツッコミたくなる気持ちが多くてムカついて嫌われるようなことを言ってやった。


女子からは完全に嫌われたな。


けど、いいと思っている。

だから男からはビックリだし。

全部って具体的にって感じにはなるが悪くは無い。


それにそんなに俺が驚いている時に不安そうな表情をしていた。


その表情に心が持っていかれて守ってあげたくなる気持ちになった。


まだどこが好きとか分からないけど。


この男はきっと俺の前で色んな表情をしてくれるだろう。


そう考えるとその思いにしっかりと受け止める必要があり知っていく必要があると思った。


「ありがとうございます」


「どういたしまして。 その代わりきちんとはっきりと物事を言って?嫌なら嫌だと


「嫌なところなんてないと思いますけど。 僕、嘘つけないので」


素直だな。


廊下ですれ違うことはあるけど話したことは無かった。


「分かった。連絡先交換しよ?」


放課後だから一緒に帰ることにした。

その間あまり話せなかったけど。


「櫻井さん?」


「全然話せなくてごめん。 なんか緊張しちゃうな」


「ふふっ、そうですね」


嬉しくて思わず抱きしめてしまった。


「さ、櫻井さん・・・」


「可愛い。 でも、恋人になるなら名前で呼んでくれる?」


「翔さん?」


「潤くん家に来てくれる?」


そりゃ電話やLINEで済む話ではあるが。

もう少し一緒にいたいって気持ちはあってもいいだろ?


「うん」


俺の家に着いて俺の部屋に案内する。

何話そうかと迷ってしまう。


「翔さんの家に入れて嬉しい」


「そう?」


「だって、もう少し一緒にいたい気持ちあるから」


「ふふっ、そうか」


なんか俺の中で甘い気持ちが出てきてる。

潤くんが素直でなんか見た目だけじゃなくて心の奥底まで綺麗な感じ。


「翔さんは?」


「俺ももう少し一緒にいたくて。 恋人作ったことないから何をどうすればいいのか分からないから結構だらしないと思うけど」


うん、もっとリードしてあげられたらって思うけどな。


「え? ないの?」


「ないない」


「凄くビックリだけどそれって僕以外に恋人がいなかったって凄く嬉しい」


まぁ、そうかもな。  

俺も潤くんに恋人が元であろうといたら嫉妬するだろうな。


「どうしてあげたらいいのかも分からないけど」


「ふふっ、だらしなくはないと思う。 僕から告白したから。 なんか、恋愛初心者のしょおくんは可愛い」


か、可愛い?

そんなこと言われたことない。


よっぽど俺の事見てる証拠ではあるな。


セックス・・・


すればいいのか?


でも、男同士でできるものなのか?


とりあえず今、俺の気持ちを言葉以外で表現する方法はキスだと思った。


潤くんにキスするだけでドキドキする。

初めてのキスなんだ。

されたこともしたこともない。


「しょおくん//」


「潤、好きだ」


そのうち好きすぎて思いが爆発することになるだろうなと思うと大変な恋になりそうだな。

 

好きというとすぐ笑顔になるしドキッとする。

可愛いさは抜群な以上同性からの告白が多そうな予感がするから阻止しないといけないな。


恋愛初心者だけど成長していくものならきっとそのうちバカップルとなるような恋愛関係になれたらもっと幸せなのかなと思った。