受験シーズンに近づいてきた。

俺たちは家から近い高校を選んだ。

公立の学校が自転車で行ける範囲にある。

「海翔も同じ高校でいいの?」

「高校に拘りはあまりない。 交通費が無い方がいいでしょ? それに、 別にわざわざ違う高校に行く理由もない」

そりゃ運動部とか入りたい気はするけど。
潤羽を1人にするのは心配だ。

「分かった。 受かるといいな」

「そうだね」

受からないなんてことは考えてはない。
推薦よりも倍率は低いから。

別に難関校ではないから。

「海翔には話さないといけないかな」

「そうだな、受かったら言った方がいいかもしれない。 でも、そうなるとも限らないからその上で話すのがいい。 愛翔にも話したけどさ」

「そうだね」

俺には分からない話だけど。
重要な話なのかな。

それから高校に受かり卒業式前日。

「まずは約束通り沖縄の旅行は行こうか」

「そうだね、行こうか」

「で、もう1つ。 これは潤が話すべきだね」

「海翔には特に知って欲しくてね? 潤羽もだけど潤羽を守る為に聞いて欲しい」

どんな話なのだろう。
ちょっと緊張する。
だって、母さんが真面目な顔をしている。

「高校の頃、僕は1番ショックだった」

ショック? 
高校と言えばいい思い出が沢山なイメージ。

「僕はΩだからヒートが来たら‪α‬はそのヒートに反応する。 それで僕は好きでもない人とした。 レイプだよね

母さんが?
ビックリした。

「うん、今はね? その人とはいい関係だし元々はお友達だったからね?」

「それは許せたってこと?」

だって、普通は許せないこと。
警察行きでもある。

「うん、今が幸せだからなのとその人も今は幸せだから。 本当は愛翔の前に子供いたんだ。 けど僕は高校生だから育てることが出来なかった。子供には罪ないのにね? 妊娠中絶。 早く気がついたおかげでなのかな。 中絶出来た

そうなんだ。
許せるものなのかは分からないけど母さんが幸せでこうして話せているのが少なくても過去の出来事なんだなって思う。

「その子供とは1度も会ったことない。 生きていればとっくに大人。 でも、今は幸せだからこうして話せてる。 だからね、どんな事があってもダメだよ

「うん、潤が体験したようなことをしちゃいけない。 出来れば助けてあげて欲しい。 まぁ相手はどう思うかは難しいけど

助けた瞬間その人がΩだと分かってしまう。

「うん、そういう人嫌だ」

潤羽が怒った顔をしている。

「でも、好かれちゃったら困るな」

助けてあげたい気持ちはあるけど。
そうなったら無理やりとかキスされそうだ。

「それが難しいんだよな。 でも、傷ついてもその傷を治すのは無理だな」

「ん、僕は怖かったから。 恐怖心の方が勝つと思うけど」

簡単には無理だってことだね。

「ママは? 助けてくれる人はいたの?」

そう簡単にいるとは思わないが。
いたのかな。

「当時はいなかった。 された時にはね?」

「じゃ、父さんとはいつ出会ったの?」

聞いたこと無かったから聞いてみた。

「え? 海翔//」

何で照れてるの?
俺にはよく分からない。

「ママ、パパとの出会いはそんなに照れるような出会いなの?」

すると母さんは

「んー、しょおくんとの出会いは秘密かな」

と言って言わなかった。

「別に秘密にするほど恥ずかしくはないでしょ」

父さんはそう言いながらも話そうとはしない。
母さんの許可が必要なの?

「じゃ、ちょっとだけだよ?」

母さんは言いにくそうだった。

「初めて出会ったのは病院だから場所的にちょっとね?」

なるほど。 でも、どうして病院?

「倒れちゃったみたい。 疲労だろうけどね?

「ママ、疲れちゃって倒れたの?」

「疲労だけでって思うかもだけど本当に限界だと倒れるだけでも危険なことを知ったよ」

疲れを取ることの大切さを母さんから言われて早く寝れることが幸せな事だと気づいた。