SideS

何となくで恋をしてきた。
違うな。 恋をしているふりをしてきた。

いつからだろうな。
中学だ。

俺が好きだった人は既に恋人がいた。
それっきりちゃんと恋をしてこなかった。
バレタインになると毎年告る人が現れるから一年に一度ぐらいのペースで恋人ができて別れての繰り返しだった。

高校に入ると初めて同性から告られた。

1つ上の先輩に。

その人と付き合うのは気楽だった。
のんびりとしてるけどほっこりとするような温かさがあった。

でも、恋かはイマイチ分からない。
そんな俺に初めて挿れられ、女の気持ちが少し分かった。

丁寧にしなくちゃいけない理由。
女ならこう思うだろうとか。

その人とはその人が卒業するまで付き合った。
途中で抱きたい気持ちになり女を抱いても怒ることは無かった。

抱かれたいし抱きたいなんて思う俺に戸惑った

そんなに性欲があったなんて。

俺が高三の冬。 受検でサッカー部にはあまり行けなかった。

俺はたまに図書館に行く時がある。
小説借りようと思って向かうと隣が雑誌コーナーでそこに見たことあるやつがいた。

「松潤?」

「あ、先輩?」

何故スポーツの雑誌?

「どうしたの?」

「え? えっと・・・」

よく見ると可愛いじゃん。
てか、足・・・

「怪我してるの?」

松潤は頷いた。
でもその表情は落ち込んでいるように見える。
確か松潤っていつも明るいイメージがあるけど

分からなくはない。 俺と同じサッカー部だし。
怪我したら暫くは大会には出れない。
誰よりも努力してたのは見ていた。

「二度とサッカー出来ない足になっちゃって」

「え? じゃあ・・・」

部活辞めたとか?

「辞めましたよ。 少しの間マネージャーをしてたけど。 要らないみたいで。 他のスポーツやってみたいなとは思うけど。 この足じゃ無理ですよね

マネージャーは基本女子がやるもの。
そこに入れば目立つし嫌がる人もいる。

「うん、まず完治しないと無理。 まだ足を引きずってる状態じゃ到底無理だ。 

「あと2週間」

「・・・」

気になるな。 
このままほっとけないな。

「ねー、一人暮らし?」

「学校からは近くは無いですけど」

それじゃ足に負担がかかる。

「今日から暫くは俺の家な? 必要なものあると思うから俺も松潤の家行くよ」

「え? んー、そこまで心配しなくても」

「少しでも負担を減らして治す努力をするそれが大切だろ?」

日常生活にも影響が出ている今だから。

「ありがとう」

あんまり一緒にいた記憶は無い。

放課後になると一緒に帰り荷物を取りに帰って俺の家に。

あんまり話しかけてはこない松潤が珍しく話しかけてきた。

「先輩、夕飯どうします?」

「あー、俺はコンビニだな」

すると松潤は

「ダメです!! コンビニ弁当ばかりじゃダメです。 なら、僕が作ります。 買い物行ってきますね?」

それじゃ松潤が負担になるじゃん。
足にも。

「大丈夫です。 作るのも買い物するのも好きなので。」

好きなら止めはしない方がいいのか。

「じゃ、俺も行く」

そう言えば松潤は頷いた。

こんなふうに歩くなんて思わなかったな。

料理が上手くて味が良かった。

それから約2週間。
同じように学校に通い一緒に帰った。

隣に松潤がいることが当たり前になってた。
先輩後輩の関係しか無かったはずだが。
気持ちが変わってきてるのが事実だ。
それと、話しやすい関係にはなったのかな。

そして今日はバレタインと松潤の足が完治する日でもあった。

だから、今日から帰りは一緒じゃない。
家に人がいないって寂しいものなのか。

たまにドキドキしていた。

松潤を見てドキドキするって。
人を見てドキドキするのって恋だろ。

何をしていても小さなことでも楽しかった。

バレンタインのチョコは女子からいくつか貰った。

告白は全部断ってな。

大学だから会う時間減るし。

それに。
そろそろ大人になるからそんな付き合い方は高校までと思っていたから。

そんなふうに考えていると突然音が鳴った。
そう言えば合鍵返してもらってなかったか。

だから鍵の音がしたのか。

「どうしたの?」

鍵なら次会う時でいいのに。

「ほんとは手作りチョコ作りたかったけど。 時間が無くてカッブケーキにしちゃった。 食べてくれる?」

男から貰うなんて初めてだ。

「ありがとう、中入りな?」

「お邪魔します」

リビングのソファーに座らせた。

「めっちゃ美味い」

「ほんと?」

「ありがとう」

時間がない中わざわざ作ってくれたの凄く嬉しい。

「ふふっ、良かった。 しょおさん沢山貰ってるとは思ったけど。 あげたかったから」

「どうして?」

松潤だってモテるじゃん。

「それは好きだからです」

好き。 その言葉に嘘はないと俺は思うから。

「いいよ、俺も好き」

恋人でいいんだ。

「え? そうなの?」

「2週間、しっかりと潤のことを知ったから」

長いような短いような。
最初は長いって思うけど。
その中で知ったことは沢山あったしまだ知らないことだってあるだろう。

「うん、僕も沢山知った。 だからもっと好きになっちゃった」

ってことは・・・

「元々好きだったの?」

「部活に入ってから好きになっちゃった」

そう言って嬉しそうに笑った。

潤とキスした。
軽いけど何回もした。

本気で恋するっていいな。
自分を変えられる。
それに。 俺にはない世界が見えるから。